日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG29] 高レベル放射性廃棄物処分: 理学・工学の両面から考える

2018年5月24日(木) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:末次 大輔(海洋研究開発機構 地球深部ダイナミクス研究分野)、寿楽 浩太(東京電機大学工学部人間科学系列)、金嶋 聰(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門、共同)、鷺谷 威(名古屋大学減災連携研究センター)

[HCG29-P01] 高レベル放射性廃棄物処分と日本列島の地殻変動

*鷺谷 威1 (1.名古屋大学減災連携研究センター)

キーワード:高レベル放射性廃棄物処理、日本列島、地殻変動

高レベル放射性廃棄物処理の問題は原子力発電の問題と密接に関連するが、現存する廃棄物を何らかの方法で処分しなければいけないという点において、原子力発電の是非とは独立に考える必要がある(ただし、廃棄物処理が原子力発電を考える上での制約条件を与えることに注意)。今後10万年単位での安全性を考慮する必要があると言われているが、こうした問題設定は、そこで必要とされる地球科学的知見に大きな不確かさをもたらす。議論の過程において、「分かっていること」だけでなく「分からないこと」を整理し、その不確かさを踏まえた上での方策の検討が必要である。活動的なプレート境界に位置する日本列島では活発な地殻変動が生じている。短期的には主としてプレート境界の固着に起因する0.1ppm/年オーダーの弾性変形が生じ、その大部分は大地震に伴って解消される。長期的にも0.01ppm/年オーダーの変形が累積しており、大陸安定地塊や海洋プレート内部と比較すればその変形速度は2桁以上大きい。こうした条件は、日本国内における処分方法を検討する際の重要な条件である。2011年東北地方太平洋沖地震の経験を通して、短期と長期の地殻変動の関連性に対しての理解は進んだが、現状では未解決の問題も存在する。こうした問題の紹介を通して地球科学的な知見の不確かさについて議論する。