[HCG30-P03] 南足柄市里山林内におけるクヌギ(Quercus acutissima)の菌根菌群集の把握
キーワード:里山、クヌギ、外生菌根菌
外生菌根菌は共生する植物の養水分吸収や病原抵抗性を向上させることで、樹木の生育や生存に影響を与える。日本の森林の森林で優占することの多い、ブナ科、カバノキ科、マツ科の樹木は外生菌根を形成する。ブナ科のクヌギは、暖温帯里山林の主要構成樹種のひとつであるが、分子生物学的手法を用いた菌根菌群集の調査は現在までほとんど行われていない。そこで、クヌギを対象に外生菌根菌群集の調査を行った。調査は神奈川県南足柄市内の3地点のクヌギが優占する林分で行った。各調査地でクヌギの成木を10本程度選出し、根本から根系を採取した。採取した根系に形成された外生菌根について分子生物学的手法を用いて種の推定を行った。その結果、28属43種の菌根菌が検出され、Cenococcum geophilum、ロウタケ属、ラシャタケ属、アワタケ属が高頻度で出現した。クヌギが多様な菌根菌種を有していることは、植生更新やさまざまな樹種の定着に寄与できる可能性が考えられる。今後の里山林の多種多様な生物の種構成を維持していくうえで、重要な要素の一つになりうるのではないかと考える。