16:00 〜 16:15
[HDS11-07] 赤谷の岩盤クリープ斜面における水質形成過程に関する研究
キーワード:深層崩壊、岩盤クリープ、電気伝導度、イオン濃度、空中電磁探査
2011年9月の台風12号により、紀伊山地では深層崩壊が多数発生している。深層崩壊による被害を軽減するためには、事前に深層崩壊危険箇所を把握し、ハード・ソフト両面から対策を講じておく必要がある。これまで、深層崩壊危険箇所の抽出手法として、レーザプロファイラなどの地形データを使う方法、空中電磁探査技術を用いる方法、斜面末端の湧水の有無・湧水の電気伝導度を用いる手法などが提案されている。この中で、湧水の電気伝導度を用いる手法は経験的に深層崩壊危険箇所で湧水の電気伝導度が高い、という特性を用いて危険箇所を抽出する手法である。一方で、なぜ電気伝導度が高くなるか、という技術的な根拠に乏しいという課題もある。本研究は、熊野川水系の赤谷地区の岩盤クリープ斜面において、ボーリング調査を行うとともに、ボーリングコアを用いた溶出試験を行った。コアの亀裂の発達具合と溶出試験後のEC・イオン濃度との関係を整理し、危険斜面において湧水の電気伝導度が高くなる原因について分析を行った。
研究対象地は、熊野川流域にある赤谷地区周辺の岩盤クリープ斜面である。なお、事前に崩壊面の深度をおよそ特定するため、空中電磁探査を実施し、深度方向の比抵抗分布を推定している。これらの斜面において、ボーリング調査を行うとともに、孔内傾斜計を用いて崩壊面の特定を行った。ボーリングコアについては、脇坂ら(2012)の区分に基づいて破砕度区分を実施するとともに、開口量を計測した。その後、コアを用いた溶出試験を行った。溶出区間は28日間とし、28日後にECと代表的なイオンの濃度を計測した。計測の結果から、深度と開口量との関係、深度とイオン濃度・電気伝導度の関係、開口量とイオン濃度・電気伝導度との関係について整理した。
溶出試験の結果、イオン濃度と電気伝導度には高い相関性があることが分かった。イオンの中でも、Ca2+とHCO3-がコアによって試験後の濃度が異なっており、指標となるイオンとなることが分かった。開口量とイオン濃度・電気伝導度については、3mm付近がピークとなっており、それより大きくても小さくてもイオン濃度・電気伝導度は下がることが分かった。これらのことから、亀裂が発達するにつれ、イオンの溶出が進むが、亀裂が発達しすぎると溶出が減少することが示唆された。
研究対象地は、熊野川流域にある赤谷地区周辺の岩盤クリープ斜面である。なお、事前に崩壊面の深度をおよそ特定するため、空中電磁探査を実施し、深度方向の比抵抗分布を推定している。これらの斜面において、ボーリング調査を行うとともに、孔内傾斜計を用いて崩壊面の特定を行った。ボーリングコアについては、脇坂ら(2012)の区分に基づいて破砕度区分を実施するとともに、開口量を計測した。その後、コアを用いた溶出試験を行った。溶出区間は28日間とし、28日後にECと代表的なイオンの濃度を計測した。計測の結果から、深度と開口量との関係、深度とイオン濃度・電気伝導度の関係、開口量とイオン濃度・電気伝導度との関係について整理した。
溶出試験の結果、イオン濃度と電気伝導度には高い相関性があることが分かった。イオンの中でも、Ca2+とHCO3-がコアによって試験後の濃度が異なっており、指標となるイオンとなることが分かった。開口量とイオン濃度・電気伝導度については、3mm付近がピークとなっており、それより大きくても小さくてもイオン濃度・電気伝導度は下がることが分かった。これらのことから、亀裂が発達するにつれ、イオンの溶出が進むが、亀裂が発達しすぎると溶出が減少することが示唆された。