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[HDS11-09] 徳島県南部,海部川支流のせき止め湖堆積物
キーワード:せき止め湖堆積物、深層崩壊、更新世、四国
徳島県南部,海陽町村山の西方において,海部川支流の相川の左岸にせき止め湖堆積物が見出された.この堆積物は,葉,球果,材などの植物片を多量に含み,下流に向かって緩く傾斜する葉理が発達した腐植質シルト層からなる.その層厚は2.4 m以上で,上部を層厚3.5 mの土石流堆積物に覆われている.葉化石,球果化石から得られた2つの14C年代は,約6650年前を示した.現河床は巨礫サイズの礫からなるのに対して,このような堆積物があるのは,完新世前期に深層崩壊により川がせき止められて,上流側にせき止め湖堆積物が堆積したためと考えられる.なお,周辺の山腹斜面には,深層崩壊に起因する地形は認められない.このようなせき止め湖堆積物は,侵食地形が削剥されてしまった古い深層崩壊の指標となるので,今後もっと注目すべきであろう.