日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS12] 人間環境と災害リスク

2018年5月23日(水) 13:45 〜 15:15 201B (幕張メッセ国際会議場 2F)

コンビーナ:青木 賢人(金沢大学地域創造学類)、松多 信尚(岡山大学大学院教育学研究科)、須貝 俊彦(東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻、共同)、小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、座長:青木 賢人(金沢大学地域創造学類)

14:45 〜 15:00

[HDS12-05] 災害時の「引き渡し」に対する保育園および園利用者の意識
~災害の空間性に基づく検討~

*青木 賢人1林 紀代美1 (1.金沢大学地域創造学類)

キーワード:災害、保育園、引き渡し

大規模災害の発生時における帰宅困難者の発生とその対応などに関する研究や対応が進みつつある.しかし,大規模災害が発生する可能性がありながら,その頻度が低い地域(低頻度高強度災害の発生地域)においては,その準備や対応が十分に進んでいない状況にある.また,帰宅困難者自身に対する対応は進みつつあるものの,それに伴って発生する「要保護者への影響」に関しては十分な検討が行われていない.東日本大震災発生時においては,被災地の多くの保育園や学校において,想定外のお泊り保育や宿泊が発生した.事前に,災害発生時のお泊り保育にかかわる人員確保計画を立案したり,それに対応した備蓄などを進めておく必要が園側に求められる.一方で保護者に対しては,非日常な状況下におけるお迎えの困難さを認識するとともに,公的業務,インフラ業務など,災害時に業務的にお迎えが困難になる場合など,その状況を園と共有し,より実態に即した準備を進める必要がある.

そこで,本研究では,低頻度高強度災害である活断層(森本富樫断層帯)による直下型地震が高い確率で想定されている一方,近年,大規模災害を経験していない石川県金沢市とその周辺について,保育園と園を利用している保護者に対してアンケート調査を行った.その中で,活断層地震に対する認識(発生確率,震度など)や,被災状況をどのように想定しているかについて調査するとともに,お迎えの困難さに関する認識の調査を行っている.

その結果,園・保護者とも,活断層地震そのものに対する知識や認識が十分でないことが浮き彫りになるとともに,「お迎えに困難があること」に対する認識そのものが低いことが明らかとなった.

園においては,保護者の属性に関する把握が十分でなく,職務上の制限や被災状況によってお迎えが極めて困難になり,お泊り保育や数日にわたる緊急保育の必要性がどの程度発生しうるのかについて想起できていない状況が認められた.保護者側についても,自宅周辺の被災想定などについては,一定程度の認識を有している保護者であっても,園周辺や,自宅・職場・園を結ぶ経路上の被災状況に関しての認識を有していないなど,災害の空間性を含めた認識に問題があり,結果として,お迎えの困難性を把握できていない状況が浮き彫りとなった.