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[HGM03-03] 鉱山活動によって人工的に改変された地形の変化量の測定:セルビア共和国ボール鉱山の例
キーワード:銅鉱山、セルビア、人工地形
東欧のセルビア共和国東部に位置するボール市には,1903年から採掘されているボール銅鉱山が存在する.3つの露天掘り坑と一つの坑内掘り坑が存在している.最も古いオールドボール鉱山の掘削は1903年に開始され,2番目に掘削されたVeliki Krivelj坑は1979年から始まった.オールドボールの掘削は終了しているが,Veliki Krivelj坑の掘削は現在も続いており,他にCerovo坑が1993年から掘削が開始されている.露天掘りの周辺は,野ざらしのズリ山や廃さいダムが配置され,これらズリや廃さいは風雨による運搬・侵食等により,容易に周辺地域へ移動・拡散される.これらは,周辺の耕作地,住宅地の土壌を汚染したり,河川の氾濫原に堆積されたりする.また,河川水や地下水と反応して酸性坑廃水が生成され,その環境への影響はさらに広範囲に及ぶ.さらに,この鉱山を通るボール川は下流で国際河川であるドナウ川に合流するため,この環境汚染問題は国際的な問題である.本研究ではこのボール鉱山が環境へ与える影響を明らかにするために,露天掘り,ズリ山,廃さいダム等の,鉱山活動によって人工的に改変された地形の変化量を求めた.この変化量は,第一に人工的にどれほど環境を改変したかという環境変化量を表すが,他にも鉱山下流の河床堆積物や河川水濃度と比較することにより,鉱山廃棄物の拡散量を求めるために必要な値である.ここで求めた地形の変化量は,現在と過去の地形図を比較して求めた体積と,現地や文献値から求めたそれぞれの物質の密度から求めた重量である.これまでにVeliki Krivelj坑周辺の1969年に発行された25000分の1の地形図を入手した.それよりも古いオールドボール周辺の地形図は現在調査中である.一方で,現在の地形図は2003~2008年に取得されたALOSに搭載されたセンサにより取得された 5 mメッシュのDTMを入手した.本発表では,今回入手できたVeliki Krivelj坑周辺の地形の変化についての調査の途中経過を報告する.