日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-QR 第四紀学

[H-QR04] 第四紀:ヒトと環境系の時系列ダイナミクス

2018年5月20日(日) 13:45 〜 15:15 A08 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、須貝 俊彦(東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻)、水野 清秀(国立研究開発法人産業技術総合研究所地質情報研究部門、共同)、米田 穣(東京大学総合研究博物館)、座長:水野 清秀青木 かおり

13:45 〜 14:00

[HQR04-06] モンゴル・アルタイ山地における珪藻分析を用いた湖沼の環境変動

*鹿島 薫1Ulgiichimeg Ganzorig 2箕田 友和1 (1.九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門、2.モンゴル科学アカデミー地理学地生態学研究所)

キーワード:完新世、気候変動、アルタイ山地、モンゴル、珪藻分析

研究の目的

本研究は、モンゴルにおける気候変動・黄砂変動を、湖沼堆積物に残された珪藻遺骸群集の変動から復元することを目的とする。モンゴルは、アジアモンスーン変動と偏西風変動の影響から、完新世において2回以上の大規模な乾燥期と湿潤期の変動が生じた。この乾湿変動は黄砂の起源となる細粒物質の供給、人間活動に大きな影響を与えているが、その詳細と詳しい編年は明らかとされずにいた。

現地調査(2017年)と分析に用いた試料

2017年8月4日から16日にかけて、モンゴル西部アルタイ山地において現地調査を行った。16湖沼において、40地点で現生珪藻の採取を行い、6か所で湖底堆積物の掘削調査を行った。さらに、2016年にドイツグッチンゲン大学とモンゴル教育大学が掘削したボーリングコア試料(2地点)も分析に用いた。

結果

(湖沼における水質変動と珪藻分布との相関)

湖沼の水質と産出する珪藻群集との関係を調査することが古環境復元の基礎となる。2017年における調査の結果、珪藻群集と湖沼の汚濁度・塩性度(電気伝導度)と強い相関が認められた。

(完新世における湖水位の変動)

2017年に採取したコアは、2018年3月に植物検疫所の輸入許可により運搬されたばかりであるので2016年掘削試料の分析結果を、下図に示す。過去4000年間に2回の湖面上昇期(I帯およびIV帯)とその間の低水位期(II帯およびIII帯)が見られた。最上部は、温暖化に伴う永久凍土の融解によって、湖水位は大きく上昇した(V帯)