日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-RE 応用地質学・資源エネルギー利用

[H-RE13] 再生可能エネルギー分野での地球科学データの可能性

2018年5月22日(火) 15:30 〜 17:00 303 (幕張メッセ国際会議場 3F)

コンビーナ:大竹 秀明(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター)、宇野 史睦(産業技術総合研究所)、島田 照久(弘前大学大学院理工学研究科、共同)、野原 大輔(電力中央研究所)、座長:大竹 秀明(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)

16:00 〜 16:15

[HRE13-03] 気象情報からのPVパネルパラメータ推定法の検討

*高松 尚宏1中島 孝2 (1.東海大学情報技術センター、2.東海大学情報理工学部情報科学科)

キーワード:太陽電池セル、リモートセンシング、最大電力点追従制御

近年,エネルギー需要の低炭素化へ向けた動きが世界で加速していることから,太陽光発電システムの導入が急速に進んでる.しかし,今後の太陽光発電システムの急速な普及に伴い,システム全体のメンテナンスに要するコストが増加していくものと考えられる.そのことから,保守コストの増加を抑えるために,太陽光発電システムの状態を遠隔的に同定する手法が今後必要となる.本研究では,気象情報を用いたPVパネルの等価回路パラメータの推定法を提案するとともに,提案手法の数値シミュレーションによる検証を行った.

 最初に,太陽光発電システムの数理モデルについて述べる.太陽光発電システムはPVパネルと電力変換システムから構成され,PVパネルはダイオード,直列抵抗,並列抵抗を含んだ等価回路として表される.ショックレーのダイオード方程式には指数関数が含まれており,PVパネルの等価回路モデルの電流電圧関係式はランベルトW関数を用いて表すことができる.次に,電力変換システムとしてPVパネルに接続された昇圧チョッパ回路を用いて蓄電池を充電するシステムを考え,電力変換システムの振舞いを局所時間平均化された状態空間モデルとして表す.PVパネルは理想電流源として取り扱うことはできず,PVパネルの出力電流は等価回路パラメータと気象条件に依存した電流電圧特性によって決定される.このことから, 電力変換システムは電力をPVパネルから効率よく取り出すために昇圧チョッパ回路の内部にあるスイッチングデバイスの通流率の制御をおこなっている.電力変換システムの最適動作点は最大電力点と呼ばれており,電力変換システムは最大電力点において最大の電力をPVパネルから引き出すことができる.電圧に対する電力の変化を参照することで作動点を最大電力点に追従させる制御方式は最大電力点追従(MPPT)制御と呼ばれ,多くのパワーコンバーターで採用されるアルゴリズムである.MPPT制御で作動するシステムを電力変換システムのモデルとして考える.

 次に,PVパネルのパラメータ推定について述べる.PVパネルの電力電圧特性は最大電力点において極値を持つ.そのため,ランベルトW関数を含んだ電流電圧関係式の解析から,電力変換システムが最大電力点で作動している条件下での拘束方程式が得られる.この拘束方程式に対して,気象条件と計測した電流電圧値の代入を行うことで,PVパネルの未知パラメータを推定することができる.

 最後に,数値シミュレーションにより提案手法の妥当性を確認する.