[H-SC05] 地球温暖化防止と地学（CO2地中貯留・有効利用、地球工学）

[HSC05-09] CO₂/塩水/白雲母三相界面系における接触角の塩濃度依存性に関する分子動力学的研究

*志賀 正茂¹、梁 云峰²、村田 澄彦¹、林 為人¹ (1.京都大学、2.東京大学)

キーワード：CO2地中貯留、濡れ性、分子動力学

CO₂の大気中への排出量の削減技術の一つとしてCO₂地中貯留(CCS)がある。CO₂の大規模発生源からCO₂を回収し、地下約1~3kmの貯留サイトに圧入・貯留する。貯留層の上部の遮蔽層が機能することによってCO₂を長期的かつ安定に貯留することができる。キャップロックのシール性能は鉱物粒子の空隙間に作用する毛管圧力によって評価される。鉱物表面に対する流体の濡れ性は毛管圧力に対して直接的に影響を及ぼす。濡れ性は接触角によって評価されるが、CO2/塩水/鉱物三相の相互作用によって影響を受けるため、複雑で未解明な部分も少なくない。接触角については温度・圧力・鉱物の種類など様々な要素によって変化し得る。Arif et al. (2016)ではCO2/塩水/白雲母系の接触角の塩濃度依存性を実験的に測定し、濃度増加に伴って接触角が増加する傾向を示した。これは遮蔽性能の低下に繋がる可能性を示す。
本研究では分子動力学計算を用いて接触角を算出し、薄膜の構造変化に注目して接触角変化のメカニズムについて考察した。