日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT18] 環境トレーサビリティー手法の開発と適用

2018年5月22日(火) 10:45 〜 12:15 103 (幕張メッセ国際会議場 1F)

コンビーナ:陀安 一郎(総合地球環境学研究所)、中野 孝教(大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所)、木庭 啓介(京都大学生態学研究センター)、座長:陀安 一郎(総合地球環境学研究所)

12:00 〜 12:15

[HTT18-12] 本州から出土した縄文時代人骨の安定同位体分析による食性解析

*日下 宗一郎1 (1.ふじのくに地球環境史ミュージアム)

キーワード:古人骨、安定同位体、食性

先史時代の遺跡から出土した古人骨の炭素・窒素同位体分析によって,当時の食性を調べることができる。日本列島の縄文時代に居住していた人々の食生態を調べることは,縄文時代人の環境利用とその時期的な変遷を明らかにする上で重要である。縄文時代人の食性の本州における地域間変異を明らかにすることを目的として,本州の8つの遺跡から出土した古人骨の炭素・窒素安定同位体分析を行った。古人骨から試料を採取し,骨コラーゲンを抽出する実験を行い,元素分析装置—質量分析装置(EA-IRMS)を用いて炭素・窒素同位体比を測定した。その結果,山陽地域の遺跡から出土した人骨は,窒素同位体比が高く,海産物の利用が想定された。近畿地域の人骨は,比較的低い窒素同位体比を示し,淡水生態系と陸上生態系の食物を摂取していたことが想定された。東海地域の人骨も近畿地域と同様に低い炭素・窒素同位体比を示していた。これらの検討から,食性の地域間変動が明らかとなった。より詳細に縄文時代の食性を調べるためには,放射性炭素年代測定により時期的な食性の変遷を調べることが必要である。