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[HTT18-13] メソポタミア氾濫源堆積物と粘土板の化学組成・同位体組成にみる都市鉱山のあけぼの
キーワード:メソポタミア、都市鉱山、粘土板
メソポタミア地方から出土する粘土板の中には、採土場における儀式について記述したものがあり、とくに塑像を作る粘土を採取する際には、金・銀・ラピスラズリ、ビールなどを捧げて清めの儀式を行ったとされる。粘土板胎土や氾濫源堆積物の化学組成を調べたところ、粘土板胎土そのものも氾濫源堆積物と比較して銀や鉛に富んでいることが確認された。この傾向は、とくにシカゴ大学博物館収蔵の試料で顕著であった。この銀・鉛濃度異常は採土場における清め儀式の物質科学的な証拠であり、最初期の都市鉱山化の証拠としてとらえることができるかも知れない。ただし、博物館の中には粘土板の撮影を行う際の陰影を強調するために白色の粉を塗布するものがある。シカゴ大学試料は高濃度の銀・鉛含有率を示すが、鉛同位体のトレンドは、氾濫源堆積物やほかの粘土板胎土試料のものとは異なっており、鉛白の使用が疑われる。