14:30 〜 14:45
[HTT18-16] トゥファ年輪の酸素・炭素同位体高分解能分析と形成年代の検討
キーワード:トゥファ、安定同位体、樹木年輪
通常、石灰岩帯の縞状炭酸塩(石筍、鍾乳石など)の年代決定は、14C法ではなく234U-230Th法が用いられる。これは炭素源のひとつの石灰岩から溶出したCO2に14Cが含まれないためであり、石灰岩地帯の沢で生成されるトゥファも同様にして14C法を利用できない。これに加えて、トゥファの年代は、234U-230Th法で求めることも難しい。理由は、多孔質な縞状構造(空隙率40%程度)に起因して、234U-230Thに対して開放系であること、方解石形成時の234U濃度は不均質な分布を取ることによる。
以上の課題を解決するために、本研究は、水温効果を記録するトゥファδ18Oと、樹木年輪幅データのパターンマッチングによって、古トゥファの年代決定の検討を行った。使用したトゥファ試料は、2012年10月に濁川河床で採取した現生トゥファと、1968年に濁川の河岸段丘で採取した古トゥファであり、高分解能炭素酸素同位体比分析によって、現生トゥファはAD1999~2012年の記録を、古トゥファについては25年間の記録が復元された。樹木年輪幅はCook et al. (2013)#414のAD800~ AD 2009年が用いられた。樹木年輪幅は6~8月の気温を反映するため、トゥファδ18Oは夏季のピーク前後の3点平均が用いられた。現生トゥファと樹木年輪幅のパターンマッチング解析結果、相関係数はタイムラグゼロで最も高い値(R=-0.63, p<0.024)を示し、手法の有効性を確認した。
上記の方法を用いて古トゥファ年代を検討した。結果、R=-0.60以上で高い相関性を持つ時期が6点(AD1120年、AD1164年、AD1499年、AD1502年、AD1525年、AD1550年、AD1839年)認められた。現在の濁川は1108年の浅間火山大噴火の際に生じた追分火砕流を侵食し流下している。古トゥファは追分火砕流堆積層の表層から約30センチから採取され、そこの段丘崖の現在の高さは3~4 mである。濁川が追分火砕流以前から流下していたと仮定すると、採取地点の侵食速度は0.3~0.4 cm/yearと見積もられ、古トゥファの形成年代はAD1200年ごろに制約される。また、現生トゥファδ13Cは2004年のマグマ性噴火の記録として負の異常値が認められたが、古トゥファδ13Cは負の異常値が認めらなかった。これは、古トゥファ堆積中の25年間中にマグマ性噴火がなかったことを意味する。浅間火山ではAD1128年にマグマ性噴火が生じていることから、今回用いた古トゥファの堆積は、AD1164年から生じたものと推察される。
以上の課題を解決するために、本研究は、水温効果を記録するトゥファδ18Oと、樹木年輪幅データのパターンマッチングによって、古トゥファの年代決定の検討を行った。使用したトゥファ試料は、2012年10月に濁川河床で採取した現生トゥファと、1968年に濁川の河岸段丘で採取した古トゥファであり、高分解能炭素酸素同位体比分析によって、現生トゥファはAD1999~2012年の記録を、古トゥファについては25年間の記録が復元された。樹木年輪幅はCook et al. (2013)#414のAD800~ AD 2009年が用いられた。樹木年輪幅は6~8月の気温を反映するため、トゥファδ18Oは夏季のピーク前後の3点平均が用いられた。現生トゥファと樹木年輪幅のパターンマッチング解析結果、相関係数はタイムラグゼロで最も高い値(R=-0.63, p<0.024)を示し、手法の有効性を確認した。
上記の方法を用いて古トゥファ年代を検討した。結果、R=-0.60以上で高い相関性を持つ時期が6点(AD1120年、AD1164年、AD1499年、AD1502年、AD1525年、AD1550年、AD1839年)認められた。現在の濁川は1108年の浅間火山大噴火の際に生じた追分火砕流を侵食し流下している。古トゥファは追分火砕流堆積層の表層から約30センチから採取され、そこの段丘崖の現在の高さは3~4 mである。濁川が追分火砕流以前から流下していたと仮定すると、採取地点の侵食速度は0.3~0.4 cm/yearと見積もられ、古トゥファの形成年代はAD1200年ごろに制約される。また、現生トゥファδ13Cは2004年のマグマ性噴火の記録として負の異常値が認められたが、古トゥファδ13Cは負の異常値が認めらなかった。これは、古トゥファ堆積中の25年間中にマグマ性噴火がなかったことを意味する。浅間火山ではAD1128年にマグマ性噴火が生じていることから、今回用いた古トゥファの堆積は、AD1164年から生じたものと推察される。