日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT18] 環境トレーサビリティー手法の開発と適用

2018年5月22日(火) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:陀安 一郎(総合地球環境学研究所)、中野 孝教(大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所)、木庭 啓介(京都大学生態学研究センター)

[HTT18-P02] 濃尾平野北部における降水同位体の季節変化

大宮 奈美1、*森本 真紀1 (1.岐阜大学)

キーワード:降水、水素同位体比、酸素同位体比、濃尾平野

本研究では、濃尾平野と美濃山地の境である岐阜市北部を調査地域とし、この地域の降雨の季節変化の特徴と山の地形が降水量と同位体比に与える影響を調べるため、標高329 mの金華山の山頂と山麓を含む東西方向4 kmにわたる5地点において、週単位での降水観測をおこなった。自作の簡易雨量計を用いて降水量を計測し、その水素・酸素同位体比を測定した。口径18cmの漏斗と2Lペットボトルを組み合わせた雨量計について、観測期間中の雨量計内の水の蒸発の影響を調べた。降水量変化に関しては無視して良い量の蒸発である一方、降水が少ない週には観測中の容器内の雨水の微量の蒸発により若干の同位体変化が起こるため、測定結果の取扱いに注意が必要であることが示された。岐阜大学における2016年8月から1年半の期間の降水量と水素・酸素同位体比の季節変化では、3月と10月頃に大きく変化し、d-excess値(d = δD − 8δ18O)でも明瞭な変化を示した。東西測線の結果からは季節によって降水量の異なる分布傾向が見られた。東西分布の特徴から週毎の観測値を分類し、降水量・降水同位体比と気象状況との関係を考察した。金華山の山頂と山麓の同位体比の差(高度効果)については東西の山麓で差が見られ、季節変化を示しており、季節ごとに変化する雨雲の動きや風向が、山の東西斜面での同位体分別に関係することが示された。