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[HTT19-03] シリンダー電極を用いた牽引式電気探査の適用実験
キーワード:牽引式電気探査、シリンダー電極
地表に金属の電極棒を打設する必要のない牽引式電気探査は、長い測線や広域の調査範囲を効率的に探査できるという特長がある。牽引式電気探査装置のひとつであるオームマッパー(山下他,2004)は、ダイポールケーブルとよばれる同軸ケーブルをキャパシタ電極として利用し、ダイポールダイポール配置で測定を行うものである。その際、ダイポール長は使用するダイポールケーブルの長さによって、隔離係数は使用する受信器の数と、送信・受信器間隔によってそれぞれ計算される。各受信器の測定値に対し、通常の電気探査と同様にしてダイポール長と隔離係数から見掛け比抵抗や見掛けの探査深度が計算できる。たとえば、2.5mのダイポールケーブルを用いて、送受信器間隔を2.5mとして測定した場合、最も浅い見掛けの探査深度は1.875mとなる。見掛け比抵抗疑似断面ではこの深度以浅にはデータは存在せず、逆解析によって地表までの比抵抗断面を求める場合、2m以浅の比抵抗値の精度や分解能は高くない。そのため、極浅部を対象とする調査への適用性に問題が指摘されていた。そこで、ダイポール長を0.5mとしたシリンダー型のキャパシタ電極(シリンダー電極)を試作し、オームマッパーを用いてその効果についての検証実験を行った。実験では、同じ測線上で通常の電極棒を用いた電気探査と試作のシリンダー電極を用いた牽引式電気探査の測定を行い、送信器からの距離に応じて減衰する観測値を比較した。その結果、電極間隔50cmで得られた電気探査の測定値とシリンダー電極を用いた牽引式電気探査の測定値は概ね整合していた。また、従来型のオームマッパーのデータにシリンダー電極を用いて得られた浅部のデータを加えて二次元逆解析を行った結果、これまでよりも浅部の分解能と精度が向上した二次元比抵抗断面が得られることが確認できた。