[HTT19-P09] トンネル坑内における浅部岩盤と比抵抗分布の調査事例
キーワード:トンネル地質調査、電気探査、比抵抗
トンネルの地質調査では、電気探査が多く行われ、岩盤の比抵抗値が得られている。この比抵抗値は、岩盤の硬軟や亀裂、含水状態、粘土鉱物の含有量等の違いによって異なる値を示すため、現地の地質と対応させることで、トンネルの掘削箇所における岩盤性状の評価に活用されている。しかし、トンネルの掘削前に得られた岩盤の比抵抗値は、実際の掘削箇所で、どのような値を示し、どのような地質に対応しているのかについて検証された事例は少ない。そこで、本調査では、北海道の国道トンネルを対象に、その掘削前の地表で行った二次元比抵抗探査と、掘削中の切羽で比抵抗法垂直探査を行い、これら両探査による比抵抗値の捉え方を比較するとともに、トンネルの掘削で判明した地質や岩石試験結果と比抵抗値の対応を調べたので、その結果について報告する。
本調査は、北海道東部に位置する延長1.3km、最大土被り厚170mのトンネルで行った。トンネルの主な地質は、起点側の軽石片を多く含む凝灰岩と終点側のガラス質な溶結凝灰岩であり、その境界部のトンネル中央の沢部では、砂岩泥岩と凝灰岩の互層が存在する。
地表での探査は、電極間隔5m、探査深度200mとして行った。地表での探査の結果、トンネル掘削箇所の比抵抗値は、起点側の軽石片を多く含む凝灰岩の区間で50~400Ωm、沢の近傍における砂岩泥岩と凝灰岩の互層の区間で100Ωm以下、沢から終点までのガラス質な溶結凝灰岩の区間で800Ωm以上を示した。
切羽での探査は、地表での探査の結果をもとに、比抵抗値が800Ωm以上と100Ωm以下となる2箇所を選定し、その掘削時の切羽で電極間隔1m、ダイポール・ダイポールとウェンナー電極配置の2通りで探査を行った。切羽での探査の結果、切羽表面から2m深部の比抵抗値は、前者で1,000Ωm以上、後者で60Ωm以下であり、地表での探査による比抵抗値と、前者で高く、後者で低いことが相対的に一致した。また、切羽の地質は、ともに火山礫凝灰岩であるが、前者は硬質で後者はやや軟質であった。坑内で採取した岩塊による岩石試験では、P波速度、一軸圧縮強さ、有効間隙率、比抵抗値は、前者で4.8km/s、54MPa、5.4%、4,100Ωmであり、後者で2.9km/s、9MPa、29.3%、20Ωmであり、比抵抗値の違いは、このような地質や物理強度特性の違いを反映した結果であることを確認した。
本調査は、北海道東部に位置する延長1.3km、最大土被り厚170mのトンネルで行った。トンネルの主な地質は、起点側の軽石片を多く含む凝灰岩と終点側のガラス質な溶結凝灰岩であり、その境界部のトンネル中央の沢部では、砂岩泥岩と凝灰岩の互層が存在する。
地表での探査は、電極間隔5m、探査深度200mとして行った。地表での探査の結果、トンネル掘削箇所の比抵抗値は、起点側の軽石片を多く含む凝灰岩の区間で50~400Ωm、沢の近傍における砂岩泥岩と凝灰岩の互層の区間で100Ωm以下、沢から終点までのガラス質な溶結凝灰岩の区間で800Ωm以上を示した。
切羽での探査は、地表での探査の結果をもとに、比抵抗値が800Ωm以上と100Ωm以下となる2箇所を選定し、その掘削時の切羽で電極間隔1m、ダイポール・ダイポールとウェンナー電極配置の2通りで探査を行った。切羽での探査の結果、切羽表面から2m深部の比抵抗値は、前者で1,000Ωm以上、後者で60Ωm以下であり、地表での探査による比抵抗値と、前者で高く、後者で低いことが相対的に一致した。また、切羽の地質は、ともに火山礫凝灰岩であるが、前者は硬質で後者はやや軟質であった。坑内で採取した岩塊による岩石試験では、P波速度、一軸圧縮強さ、有効間隙率、比抵抗値は、前者で4.8km/s、54MPa、5.4%、4,100Ωmであり、後者で2.9km/s、9MPa、29.3%、20Ωmであり、比抵抗値の違いは、このような地質や物理強度特性の違いを反映した結果であることを確認した。