日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-AG 応用地球科学

[M-AG33] 福島原発事故により放出された放射性核種の環境動態

2018年5月20日(日) 13:45 〜 15:15 A02 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:北 和之(茨城大学理学部)、恩田 裕一(筑波大学アイソトープ環境動態研究センター)、篠原 厚(大阪大学、共同)、津旨 大輔(一般財団法人 電力中央研究所)、座長:加藤 弘亮(筑波大学アイソトープ環境動態研究センター)、北 和之(茨城大学)

13:45 〜 14:00

[MAG33-11] PHITSによる空間線量率評価のための現実的なモデル作成ツールの開発

*金 敏植1Alex Malins1吉村 和也1佐久間 一幸1操上 広志1北村 哲浩1町田 昌彦1 (1.国立研究開発法人日本原子力研究開発機構)

キーワード:空間線量率、モデル、東京電力福島第一原子力発電所事故、モンテカルロ、PHITS

東京電力福島第一原子力発電所の事故から7年が経過し、多くの地域で避難指示が解除されつつある。空間線量率のシミュレーションには、異なる土地タイプ、建物表面や森林において異なる放射性セシウムの分布を考慮する必要がある。さらに建物、地形、樹木、土壌の複雑な遮蔽効果を空間線量率に反映する必要がある。
 本研究では、放射線輸送解析プログラムのPHITSによる空間線量率評価のシミュレーションを行うために、対象エリアにおける土地表面、土地タイプ、建物および樹木の3次元モデル作成が可能なツールを開発した。このツールは、対象エリアのオルソ画像、数値表層モデル(DSM)、数値標高モデル(DEM)を用いて、PHITSのジオメトリ入力ファイルが作成できる。また、建物については、日本の典型的な9種類の建物モデルを用いて、樹木については広葉樹と針葉樹モデルを用いて作成されるため対象エリアに合わせて現実的なモデルの作成が可能である。線源設定は、134Cs及び137Csの放射能分布をモデルの様々な環境要素に対し任意に分布設定が可能である。

 今回は、東京電力福島第一原子力発電所から約5km離れた大熊町の200m×200m大きさのエリアを選定しモデルを作成した。また134Cs及び137Csの線源設定は、ガンマ線スペクトロメトリーによる測定値に基づいて設定した。選定エリアに対して、PHITSによる空間線量率の計算結果と歩行サーベイによる観測結果と比較を行った。
また、モデルの様々な構成要素の空間線量率への影響を評価するために、建物や樹木のない平坦な地形、さらに選定エリアの134Cs及び137Cs分布の平均値を考慮した、より単純な系でのシミュレーションを行った。