日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[EE] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI22] Data assimilation: A fundamental approach in geosciences

2018年5月20日(日) 10:45 〜 12:15 302 (幕張メッセ国際会議場 3F)

コンビーナ:中野 慎也(情報・システム研究機構 統計数理研究所)、藤井 陽介(気象庁気象研究所)、宮崎 真一(京都大学理学研究科、共同)、三好 建正(理化学研究所計算科学研究機構)、座長:中野 慎也

11:55 〜 12:10

[MGI22-10] 観測インパクト評価診断(EFSO)ツールの適応型観測実験への利用

*山崎 哲1三好 建正2,1榎本 剛3,1小守 信正1猪上 淳4,1 (1.海洋研究開発機構 アプリケーションラボ、2.理化学研究所計算科学研究機構、3.京都大学防災研究所、4.国立極地研究所)

キーワード:大気再解析、観測に対する感度解析、アンサンブルカルマンフィルター、大気大循環モデル、適応型観測、観測システム実験

我々は,大気大循環モデルAFESと局所アンサンブル変換Kalmanフィルタ(LETKF)から構成されるデータ同化システムALEDASの開発とそれを用いた実験的アンサンブル全球再解析ALERA2の作成を行っている.ALERA2データセットは,2008年から2013年まで利用可能で,現在の準リアルタイムまで積分期間が延長されている.これまでALEDASとALERA2を用いたdata denial (ALEDASの中で特定の観測だけを取り除いて解析予報サイクルを行う)などの観測システム実験が行われ,北極域や亜熱帯海上域でのいくつかの観測キャンペーンでのラジオゾンデ観測のインパクトの見積もりが行われてきた.さらに,ALERA2や観測システム実験で得られる解析値を初期値としたアンサンブル予報実験を行うことで,大気現象についての予測可能性研究も行っている.
 最近,我々は, ALEDAS にアンサンブル予報ベースのFSO (Forecast Sentivitity to Observations)と呼ばれる個々の観測が予報にどのくらいインパクトを与えるかを診断する手法(以下EFSO)を実装した.EFSOの利点は,実際にdata denialの観測システム実験を行わずに(解析予報サイクルを行わずにオフラインで)各々の観測のインパクトを診断的に見積ることができる点である.本研究では,全球観測システムの中で時空間変動する観測インパクトのEFSOでの見積もりから,ある特定の時刻に特定の場所の観測を増加することで予報が改善し得るか,といった適応型追加観測に資する知見が得られるのかについての実験を行った.