11:30 〜 11:45
[MGI25-10] 低気圧性降雪が卓越する冠雪活火山における積雪水量の高度分布特性
★招待講演
キーワード:冠雪活火山、積雪水量、融雪型火山泥流
研究背景と目的
積雪地域の活火山では,噴火による直接的な被害のほか,融雪型火山泥流などによる甚大な被害がもたらされる可能性がある。融雪型火山泥流の規模は積雪水量に依存するため,そのリスク評価(ハザードマップ作成)には,積雪水量分布の把握が重要である。しかし,日本における積雪水量の高度依存性は,冬型気圧配置による降雪を主体とする日本海側地域(裏日本気候区)で得られた知見(例えばYamada, 1982;西村・山田,1983;松山,1998;河島ら,2004)がほとんどであり,季節風による降雪よりも低気圧性の降雪が卓越する山岳地(準裏日本気候区及びその周辺に位置する山岳地)での調査事例や知見(若林ら,2007;Tanaka and Suzuki, 2008)は限られている。そこで本研究では,準裏日本気候区及びその周辺地域に位置する冠雪活火山の積雪水量の高度分布特性を明らかにすることを目的として,御嶽火山,吾妻・安達太良火山,草津本白根火山等を対象に2014/15年冬期~2017/18年冬季にスノーサーベイを実施した。
主な結果
積雪水量(Hw)と標高(H)との間にはHw=a・H+bなる直線的関係があることが知られている。ここで,aは積雪水量の標高に対する増加率を表す係数である。この増加率aに着目して解析した結果,御嶽火山(2~4月)では0.3~1.0 mm/m,草津本白根火山(1月)では0.49という値が得られた。これらの増加率は,冬型気圧配置による降雪を主体とする日本海側地域で得られている値よりも著しく小さい。また,吾妻・安達太良火山(2月)では,西斜面が0.4~0.5 mm/m,東斜面が0.9~1.1 mm/mとなり,積雪水量分布に斜面方位による非対称性が認められた。本研究では,降雪をもたらす主要な気象擾乱の違いが積雪水量の高度分布特性にもたらす影響に関して気象データに基づき議論する。
積雪地域の活火山では,噴火による直接的な被害のほか,融雪型火山泥流などによる甚大な被害がもたらされる可能性がある。融雪型火山泥流の規模は積雪水量に依存するため,そのリスク評価(ハザードマップ作成)には,積雪水量分布の把握が重要である。しかし,日本における積雪水量の高度依存性は,冬型気圧配置による降雪を主体とする日本海側地域(裏日本気候区)で得られた知見(例えばYamada, 1982;西村・山田,1983;松山,1998;河島ら,2004)がほとんどであり,季節風による降雪よりも低気圧性の降雪が卓越する山岳地(準裏日本気候区及びその周辺に位置する山岳地)での調査事例や知見(若林ら,2007;Tanaka and Suzuki, 2008)は限られている。そこで本研究では,準裏日本気候区及びその周辺地域に位置する冠雪活火山の積雪水量の高度分布特性を明らかにすることを目的として,御嶽火山,吾妻・安達太良火山,草津本白根火山等を対象に2014/15年冬期~2017/18年冬季にスノーサーベイを実施した。
主な結果
積雪水量(Hw)と標高(H)との間にはHw=a・H+bなる直線的関係があることが知られている。ここで,aは積雪水量の標高に対する増加率を表す係数である。この増加率aに着目して解析した結果,御嶽火山(2~4月)では0.3~1.0 mm/m,草津本白根火山(1月)では0.49という値が得られた。これらの増加率は,冬型気圧配置による降雪を主体とする日本海側地域で得られている値よりも著しく小さい。また,吾妻・安達太良火山(2月)では,西斜面が0.4~0.5 mm/m,東斜面が0.9~1.1 mm/mとなり,積雪水量分布に斜面方位による非対称性が認められた。本研究では,降雪をもたらす主要な気象擾乱の違いが積雪水量の高度分布特性にもたらす影響に関して気象データに基づき議論する。