日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI26] 情報地球惑星科学と大量データ処理

2018年5月21日(月) 09:00 〜 10:30 201A (幕張メッセ国際会議場 2F)

コンビーナ:村田 健史(情報通信研究機構)、堀之内 武(北海道大学地球環境科学研究院)、本田 理恵(高知大学自然科学系理工学部門、共同)、野々垣 進(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質情報研究部門 情報地質研究グループ)、座長:本田 理恵Horinouchi Takeshi

10:00 〜 10:15

[MGI26-05] 地球深部探査船「ちきゅう」を取り巻く大量データとその処理について

*木戸 ゆかり1杉原 孝充1真田 佳典1村山 達矢1 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構)

キーワード:地球深部探査船「ちきゅう」、事前調査データ、検層

地球深部探査船「ちきゅう」は、現在IODP(国際深海科学掘削計画)の主力船の一隻として、日本周辺の複数箇所の科学掘削に実績を残している。「ちきゅう」航海の実現には、海域における事前調査による広域の地球物理学的な状況把握、海底地形図、長期の気象、海象、海域を取り巻く業業や物流情勢から焦点を絞った掘削予定点近傍の地盤情報まで様々なデータが必要となる。統合的な掘削安全性評価が必須のため、項目は、海底面の凹凸度、突起物有無、ガスや湧出の有無、底質の強度、といった複数に上る。一通りのデータを用いて浅層・深層ハザード評価、ウェルヘッドやライザートップホール構築のための地質強度評価、掘削計画最適化のための地質評価、掘削深度全域にわたる速度構造の評価を経て、掘削計画が策定される。掘削計画への参画者によるブレインストーミングで考えられうるリスクを列挙、対策によりリスクの軽減、予期せぬ気象海象に備え余裕をもたせた日程調整、資機材のバックアップ体制など、幾重にもガードを固めたリスクマネージメントが「ちきゅう」の航海を支えるキーポイントでもある。
船上生活の中でも、乗船者にHUNS(Hazards, Unsafe acts, Near misses, Safe work)カード提出を徹底し、日々の安全対策を怠らず、情報共有化に努めている。12年間のオペレーションの工夫や改善点の一つ一つが安全な航海を支える貴重なデータとなっている。オペレーションで得られるデータには、科学的なデータを支える船舶データ、掘削機器のパラメタなど、「ちきゅう」船上で得られるデータは1000種類以上にも及ぶ。効率的な掘削作業のため、孔内の安定化や洗浄を目的とする泥水循環とともに船上へ上がってくるガスのモニタリングやカッティングスの形状分析も、重要な地質評価指標であり、科学掘削に欠かせない項目である。「ちきゅう」を取り巻く大量データについて、幅広く議論したい。