日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI29] オープンデータ&サイエンスの近年の状況

2018年5月23日(水) 09:00 〜 10:30 103 (幕張メッセ国際会議場 1F)

コンビーナ:樋口 篤志(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、近藤 康久(総合地球環境学研究所)、座長:樋口 篤志

09:05 〜 09:25

[MGI29-01] オープンサイエンス政策とその背景

★招待講演

*林 和弘1 (1.文部科学省科学技術・学術政策研究所)

キーワード:オープンサイエンス政策、第5期科学技術基本計画、データ利活用方針、研究データ基盤整備、FAIRデータ科学

本公演では研究者向けのチュートリアルの位置づけで、オープンサイエンス政策をその背景と共に紹介する。G7科学技術大臣会合や第5期科学技術基本計画は、オープンサイエンスを一つの重要な事項としており、科学自身を変容させ、産業や社会にも様々なインパクトを与えることを期待している。近年内閣府において、オープンサイエンスを推進する幾つかの取組が、イノベーションの基盤づくりを目的として行われている。文部科学省や研究助成団体は学術ジャーナルの論文に対するオープンアクセスの取組から始め、現在はオープンサイエンスの動向に従って研究データの共有に関する方取組を研究者の様子を慎重に伺いながら行っている。これらのポリシーを通して分かるオープンサイエンスを推進する政策上の重要事項は、1)研究機関や研究助成団体による研究データ方針の策定、2)データを管理する持続性のあるインフラの開発、3)すべての関係者のデータリテラシーを向上させ、研究データ共有を進める専門家を育成すること、である。各々の事項は、研究領域や研究者の慣習に大きく依存するため、研究者コミュニティにも主体的な行動が様々に求められる。政策によるトップダウンと研究者と関係者によるボトムアップの組み合わせが科学を変容させるために理想的であり、トップダウン、ボトムアップ双方を含む多くの関係者によるコミュニケーションがオープンサイエンスの文化構築に重要であり、それは信頼ある研究データ共有の世界を目指し、また、今のところFAIRデータ科学と呼べるものである。