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[MIS06-10] ブライン排出過程と成層依存の鉛直拡散係数パラメタ化を導入した海洋大循環モデルによる氷期の海洋炭素循環に関する数値シミュレーション
キーワード:海洋炭素循環、氷期/間氷期サイクル、海洋子午面循環、炭酸塩補償過程
約2万年前の最終氷期最盛期の南大洋において、プロキシデータに基づく古海洋復元から、南大洋深層が高塩で古い水塊で占められていた可能性が提示されている。成層が強まり海水の鉛直混合が弱まったことが、氷期の大気中二酸化炭素濃度(pCO2)の低下に貢献していたと考えられているが、そのような水塊特性は過去のモデリング研究では十分に再現されていない。本研究は、海氷生成時のブラインリジェクション過程と成層に依存した鉛直拡散係数のパラメタ化を導入した海洋大循環モデルを用いることで、これらの水塊特性を再現し、それが海洋炭素循環を介して大気中 pCO2 に及ぼす影響を評価することを試みる。氷期に関する数値実験にブライン排出過程のパラメタ化を導入することで、氷期の活発な海氷生成に伴う深層の高塩化がみられ、復元された深層の塩分場が再現されることが確認された。この氷期実験に全球海洋で鉛直拡散係数の成層依存性を考慮すると、成層が強まることで深層水がより古くなった。これは、深層で炭素の滞留時間を増加させることから、溶存無機炭素の鉛直勾配は増加し、大気中 pCO2 が低下した。これに加えて、炭酸塩補償過程が上記の応答を増幅させる方向にはたらき、実際の氷期における大気中 pCO2 低下の 100 ppm 近い濃度変化が再現された。