日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS10] 古気候・古海洋変動

2018年5月24日(木) 13:45 〜 15:15 A07 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所)、北村 晃寿(静岡大学理学部地球科学教室、共同)、佐野 雅規(早稲田大学人間科学学術院)、長谷川 精(高知大学理工学部)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、加 三千宣(愛媛大学沿岸環境科学研究センター)、座長:岡 顕

14:37 〜 14:52

[MIS10-27] 最終氷期最盛期以降の対馬海峡における潮汐環境変動:数値モデルによる推定

*上原 克人1 (1.九州大学)

キーワード:古潮汐、東シナ海、日本海、数値計算

最終氷期最盛期以降の日本海と東シナ海を結ぶ対馬海峡における潮汐の変化を2次元古潮汐モデルを用いて推定した。数値計算は台湾海峡の地形変化の影響を考慮するため、東シナ海と南シナ海の両方を含む海域を対象に行い、海水準を-120mから0mまで10mずつ空間的に一様に変化させることで、過去約2万年間にわたる主要4分潮の潮汐・潮流の変化を見積もった。

その結果、海水準が現在比で-30mまたはそれ以下の時代には、対馬以西の海峡部の半日周潮が発達し、例えば海水準-90mの時代における平戸沖のM2振幅は約2.1mと現世(約0.9m)より2倍以上大きかったことが分かった。同時に、この半日周潮極大域の両端に当たる対馬沿岸ならびに五島列島西北沖には非常に強い半日周期の潮流が発達していたと推定され、例えば海水準-90mの時代に対馬南東沖ではM2潮流の振幅が1m/s毎秒を超えており、今日より2.5倍程度大きかったと見積もられた。

このような更新世末期から完新世初期にかけての対馬海峡における発達した潮汐・潮流は、海峡内や沿岸の生態系や堆積環境に影響を及ぼしていたと考えられる。発表時には近年研究例が増加しているボーリングコアや音響探査資料との対比結果についても併せて紹介する。