日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS10] 古気候・古海洋変動

2018年5月23日(水) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所)、北村 晃寿(静岡大学理学部地球科学教室、共同)、佐野 雅規(早稲田大学人間科学学術院)、長谷川 精(高知大学理工学部)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、加 三千宣(愛媛大学沿岸環境科学研究センター)

[MIS10-P26] 別府湾表層堆積物に残された歴史・観測災害記録の解読

*鈴木 克明1加 三千宣2池原 研3村山 雅史4新井 和乃4 (1.早稲田大学、2.愛媛大学、3.産業技術総合研究所、4.高知大学)

キーワード:別府湾、堆積物、災害、地震、洪水

地震や洪水などの災害はしばしば多量の砕屑物を堆積場にもたらす。このような現象は堆積物中の急激な砕屑物含有量の上昇や、イベント層として認定することができる。従って、こうしたイベント層は地質学的過去における災害の記録復元に用いることが可能である。しかし、発生した災害の種類やその規模を堆積物のみから特定することは難しい。近代の堆積物と観測された災害記録を比較し、砕屑物流入やイベント層がどのような災害と対応するか解明することで、この問題を解決することが可能である。
別府湾は九州北東部に位置しており、この地域はその地理条件から洪水、地震、噴火などの多種類の災害に見舞われてきた。それぞれの災害に置いてどのような堆積物がたまったのかを明らかにするために、2017年6月に別府湾の4地点から表層堆積物(長さは最長で約1.2m)を採取した。別府湾最奥部、およそ60m以深の堆積物には明瞭な葉理が保存されており、これが年縞であるとするならば、その計数およびPb、Csの放射性同位体測定によって、高解像度な年代モデルを構築することが期待できる。表層堆積物中には明瞭な「層」としてのイベント堆積物は多くは見られなかったが、ITRAXの分析結果から砕屑性元素の中でCaの濃度がスパイク的に上昇する層準が多数みられ、砕屑物の供給源が変化したことを示唆している。高解像度年代モデルに基づき、これらの層準を観測および歴史的に知られた災害と対比することを目指す。
本発表では、暫定的な年代モデルに基づく対比結果を紹介する予定である。