日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS10] 古気候・古海洋変動

2018年5月23日(水) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所)、北村 晃寿(静岡大学理学部地球科学教室、共同)、佐野 雅規(早稲田大学人間科学学術院)、長谷川 精(高知大学理工学部)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、加 三千宣(愛媛大学沿岸環境科学研究センター)

[MIS10-P29] 気候と大気循環の変動に対する沖縄島の降水安定同位体比の応答

*上地 佑衣菜1植村 立1 (1.琉球大学)

キーワード:安定同位体、降水、東アジアモンスーン

降水の酸素と水素の同位体比 (δ18O、δD) は水循環のトレーサーや古気候のプロキシとして広く用いられている。陸上の古環境指標である石筍や樹木年輪の同位体比変動は、降水の同位体比として解釈されている。

中・低緯度地域における降水の同位体比は、複数の気候要素の影響を受けており一義的に降水量や気温の指標として用いることが難しい場合が多い。例えば、中国 (Tan, 2012) やガラパゴス (Martin et al., 2017) における降水の同位体比は、水蒸気の起源海域、輸送経路の変化や近海の海面温度の変化を通して、ENSOなどの大規模な大気-海洋循環の変動の影響を受けている事が示唆されている。したがって、現在の降水の同位体比変動メカニズムを明らかにする必要がある。

本研究では、東アジアモンスーン地域の島嶼における降水の同位体比変動要因を明らかにするために、沖縄島の降水の測定を行った。降水試料は、沖縄県南部に位置する琉球大学理学部において、日ごとに7年間 (2011/1–2017/12) 採取した。同位体分析にはキャビティリングダウン式分光計を用いた。発表では測定した降水の同位体比と以前測定された沖縄南部の降水同位体比データ (2008–2011; Uemura et al., 2012) を、気象データやENSO指標などと比較する予定である。

参考文献: Martin et al. (2017), Jour. Geophys. Res. Atmospheres, 123, 1–15; Tan (2012), Clime. Dyn., 42, 1067–1077; Uemura et al. (2012), Jour. Hydrol., 475, 314–322.