日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS10] 古気候・古海洋変動

2018年5月23日(水) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所)、北村 晃寿(静岡大学理学部地球科学教室、共同)、佐野 雅規(早稲田大学人間科学学術院)、長谷川 精(高知大学理工学部)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、加 三千宣(愛媛大学沿岸環境科学研究センター)

[MIS10-P30] ミャンマー・バゴー山地産チーク年輪幅と気象データとの比較

*大室 渉1渡邊 裕美子1田上 高広1竹田 晋也2 (1.京都大学大学院理学研究科、2.京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)

キーワード:チーク、年輪、ミャンマー

ミャンマーは,全地球規模での気候に影響を与える,アジアモンスーンの強い影響下にあり,その長期的なシステムを解明する上で過去の気候情報を復元することは非常に重要である.しかし,ミャンマーでは詳細な気象データに乏しく,過去の気候を知る為には,間接的に気候を復元できる代替指標が必要となる.そこで,過去の気候情報を記録している媒体の一つとして,チーク年輪が挙げられる.熱帯地域では,チーク年輪の年輪幅や同位体比を用いた気候復元が行われてきたが,ミャンマーにおいては研究例が少ない.D’Arrigo et al.(2011)にて,約400年分の年輪曲線が作成されたが,用いられたチークはミャンマー北部産のものであり,この結果が南北に長い国であるミャンマーの中部以南においては適用できない可能性が考えられる.そこで,ミャンマー中部で採取された3試料を用い,その年輪幅がどのような気候情報を反映しているのか,また気候復元に使用できる可能性について検討した.

 まず,年輪の年代を決定する為に,クロスデーティングを行った.画像データとして取り込んだ年輪画像を処理して,1年ごとの年輪面積を計測し,そこから面積逆算法を用いて年輪幅を導出した.続いて66年スプライン曲線を用いて年輪幅の傾向曲線を得,その値で年輪幅を除すことで年輪指数を得た.年輪指数を個体間,近隣地域の先行研究であるD’Arrigo(2011),Pumijumnong(2012)らと比較することで,年輪形成開始年を1906年と決定した.

 次に,気候情報との比較として,降水量,PDSI(パルマー旱魃指数)と年輪幅との相関解析を行った.その結果,すべての試料について,雨季総降水量と年輪指数との間に有意な正相関がみられた.これはD’Arrigo(2011)やPumijumnong(2012)と整合的であった.また,3個体中2個体の試料について,雨季の中でも後半,特に8月と9月の降水量と年輪指数との間に正相関がみられた.これは,雨季前期における降水量と年輪指数との間に有意な正相関があると示したPumijumnong(2012)とは異なる結果となった.一方で,PDSIについては,有意な相関関係は見られなかった.これは,年間に渡って正相関がみられるとしたPumijumnong(2012)とは異なる結果である.PDSIを強く反映しなかった理由として,近傍の水系や気温の季節変動の少なさなどが考えられる.

 以上より,ミャンマー中部においてもチーク年輪幅が気候,特に降水量に対して敏感に反応し,古気候復元代替指標と成り得ることが分かった.今後,試料数や比較する気候情報増やしての研究や,同位体比を用いた研究も必要となるだろう.