[MIS11-P07] 女川湾における震災前後の底質環境
キーワード:津波堆積物、三陸海岸、東北地方太平洋沖地震
宮城県女川湾では、3.11震災により湾内底質環境が全く変わってしまった。三陸リアス湾においては、大槌湾・唐丹湾・越喜来湾・広田湾等で明らかな様に、泥質な底質特徴から、震災(津波)後は砂質主体の底質に換わったことが知られている(坂本他2013)。しかしながら、女川湾の場合、上記の湾とは異なり、砂質優勢な底質環境から震災後は泥質優勢な環境に全く逆のパターンになってしまった。このため東海大学と東北大学では、女川湾における震災前後および現在までの底質特徴変化を明らかにするため,海底地形調査、底質調査、地質柱状試料採取調査を行った。
地形調査は東北大小型調査船「海生」に東海大学所有のMNB測深機(SEABAT7125)を搭載し、底質調査では東北大調査船「翠皓」を用いビデオカメラを搭載したグラブ式採泥器で30地点行った。地質柱状調査として、バイブルコアリングを用いた掘削を主に五部浦湾にて3カ所実施した。
現在における女川湾の底質特徴(砂質堆積物)として、湾口付近北に位置する出島と南に位置する早崎(二股島)間に、南北に軸を持つ楕円体状に分布し、中心部(含砂率90%)から同心円状に外側に向かい細粒化(1φ~3φ)現象を有する砂帯の存在が確認された。湾口から湾奧にかけて粒子サイズは細かくなり(3φ~6φ)、それらは湾内に向け含砂率40%で囲まれる帯状分布(湾口から湾中央部への張り出し)が確認された。また震災後から継続し行われて来た底質調査結果からは、徐々に湾口から湾奥に向かい砂質堆積物が戻ってきている傾向が認められている。
湾口から湾中央付近かけての砂帯の分布は2016年の調査でも確認されたが、2017年は湾中央部の多くの調査ポイントで約1φ~0.5φの範囲で昨年より細粒化していた。これは、本調査前に起きた記録的な長雨や台風などにより北上川の水位が上昇し、雄勝湾や御前湾に水が流れ込み、雄勝湾御前湾起源の泥質堆積物が出島水道を通って女川湾に流れ込んだと考えられる。
湾口付近に分布する砂帯の起源として、1)金華山および湾南方の仙台湾および阿武隈山地を起源とする、2)湾北方の北上山地起源とし南北両側からの移動が推定される。しかし、砂帯の同心円粒度分布特徴等考えると、湾口付近に分布する岩礁が波により削られ砂質物質を生成供給している可能性も考えられる。現在粒子組成等の分析を計画している。
以上、現在の女川湾の底質環境は震災前(砂質優勢)に戻りつつあると考えられるが、2017年調査時のように、気象状況や自然現象の影響を受け一時泥質化することもあることが推定される。このように、震災によって大きく変化した底質環境は単純に砂質化に向かい回復するのではなく、泥質化砂質化の一進一退を繰り返しながら回復すると推察される。
地形調査は東北大小型調査船「海生」に東海大学所有のMNB測深機(SEABAT7125)を搭載し、底質調査では東北大調査船「翠皓」を用いビデオカメラを搭載したグラブ式採泥器で30地点行った。地質柱状調査として、バイブルコアリングを用いた掘削を主に五部浦湾にて3カ所実施した。
現在における女川湾の底質特徴(砂質堆積物)として、湾口付近北に位置する出島と南に位置する早崎(二股島)間に、南北に軸を持つ楕円体状に分布し、中心部(含砂率90%)から同心円状に外側に向かい細粒化(1φ~3φ)現象を有する砂帯の存在が確認された。湾口から湾奧にかけて粒子サイズは細かくなり(3φ~6φ)、それらは湾内に向け含砂率40%で囲まれる帯状分布(湾口から湾中央部への張り出し)が確認された。また震災後から継続し行われて来た底質調査結果からは、徐々に湾口から湾奥に向かい砂質堆積物が戻ってきている傾向が認められている。
湾口から湾中央付近かけての砂帯の分布は2016年の調査でも確認されたが、2017年は湾中央部の多くの調査ポイントで約1φ~0.5φの範囲で昨年より細粒化していた。これは、本調査前に起きた記録的な長雨や台風などにより北上川の水位が上昇し、雄勝湾や御前湾に水が流れ込み、雄勝湾御前湾起源の泥質堆積物が出島水道を通って女川湾に流れ込んだと考えられる。
湾口付近に分布する砂帯の起源として、1)金華山および湾南方の仙台湾および阿武隈山地を起源とする、2)湾北方の北上山地起源とし南北両側からの移動が推定される。しかし、砂帯の同心円粒度分布特徴等考えると、湾口付近に分布する岩礁が波により削られ砂質物質を生成供給している可能性も考えられる。現在粒子組成等の分析を計画している。
以上、現在の女川湾の底質環境は震災前(砂質優勢)に戻りつつあると考えられるが、2017年調査時のように、気象状況や自然現象の影響を受け一時泥質化することもあることが推定される。このように、震災によって大きく変化した底質環境は単純に砂質化に向かい回復するのではなく、泥質化砂質化の一進一退を繰り返しながら回復すると推察される。