日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS12] ジオパーク

2018年5月21日(月) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:尾方 隆幸(琉球大学島嶼防災研究センター)、植木 岳雪(千葉科学大学危機管理学部)、大野 希一(島原半島ジオパーク協議会事務局、共同)、田所 敬一(名古屋大学地震火山研究センター)

[MIS12-P02] 岩石標本づくりの共同開発に見るジオパーク連携の可能性

*原田 拓也1佐藤 充1山崎 由貴子2熊谷 誠3豊田 康裕4山田 健一5 (1.栗駒山麓ジオパーク推進協議会、2.湯沢市ジオパーク推進協議会、3.三陸ジオパーク推進協議会、4.気仙沼市立鹿折公民館、5.国立花山青少年自然の家)

キーワード:ジオパーク、岩石標本づくり、栗駒山麓ジオパーク、三陸ジオパーク、ゆざわジオパーク

はじめに
 所定の台紙に同定済みの岩石を貼り付け、岩石標本を製作していくプログラム(大野,2014 JpGU)が,複数のジオパーク(以下GP)で行われている。参加者は,そのGPの地質・地形や生態系,人々の営みとの関わりを,バーチャルジオツアー形式で聞きながら,説明に関係した岩石を貼り付けて標本の完成を目指す。少ない機材で場所を問わず,年齢や性別を限定することなく実施できることから,広い年齢層にジオパークの楽しみ方をPRする機会となりうる。
 栗駒山麓GPにおいては,2016年に栗駒山麓GPバージョンの岩石標本づくりを開発し,同年10月の「サイエンス・プラス(主催 東北職業能力開発大学校)」で初めて実施した。2016・2017年の「サイエンス・アゴラ」には,銚子,四国西予,Mine秋吉台,おおいた豊後大野,天草らGPと共に参加した。その後も,地域のイベントや学校教育の場でこのプログラムを実施し,2017年7月には三陸GPと,2018年1月にはゆざわGPと複数GP間で連携した岩石標本づくりを開発・実施している。
 本報告では,三陸GPとゆざわGPと共同開発・実施した岩石標本づくりの可能性と有効性について論じる。

実施例1 三陸ジオパークとのコラボ
 沿岸部に位置する三陸GP(気仙沼エリア)と内陸部に位置する栗駒山麓GP。同じ宮城県にありながら,異なる地質や自然を有し,独特の文化や暮らしが育まれている。三陸GPとの共同開発では,地質の観点からそれぞれの地域の特色を知り,地質・地形に起因した文化や暮らし,災害や防災について,岩石を貼りながら参加者に考えてもらう内容とした。
 この共同開発は,2017年7月に開催された「子ども環境探検隊 三陸ジオ編(主催 国立花山青少年自然の家)」で実施し,宮城県北部を中心とした子どもたち45名が参加した。

実施例2 ゆざわジオパークとのコラボ
 ゆざわGPと栗駒山麓GPは,栗駒・鬼首火山を中心とした奥羽脊梁山脈の形成史を有するも,山脈を挟んで東西に位置するため,類似した生態系や文化的交流がありながら,主に気候の違いに起因する特徴ある文化が双方につくられた。ゆざわGPとの共同開発では,奥羽脊梁山脈の形成史に関わる岩石を貼りながら,地質・地形の恩恵を受けてきた人々の営みと文化の交流について学び,両GPに足を運びたくなるような内容とした。
 この共同開発は,2018年1月に仙台市のショッピングセンター 泉パークタウン タピオで開催した「タピオ大学」及び「栗駒山麓・ゆざわジオパークフェスティバル」で実施し,両日あわせて62名が参加した。

共同開発による岩石標本づくりの有効性
 三陸GP及びゆざわGPと岩石標本づくりを共同開発・実施する中で,一つのGPでは完結できない地質・地形と関係した生態系や人々の営み,物語の構築及び語りを新しい視点でとらえ、この取り組みに反映できたと考える。そして、一つのGPを題材とした岩石標本づくりはもちろん,複数のジオパークを結んだ岩石標本においても,参加者に気づきと想像の機会を提供し,GPの楽しみ方を体験してもらうことができたと考える。