日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS13] 海底~海面を貫通する海域観測データの統合解析

2018年5月21日(月) 10:45 〜 12:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:有吉 慶介(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、木戸 元之(東北大学 災害科学国際研究所)、稲津 大祐(東京海洋大学、共同)、高橋 成実(防災科学技術研究所)

[MIS13-P02] 2017年9月に日本南岸沖で形成された特異な黒潮大蛇行流路

*永野 憲1山下 裕亮2有吉 慶介1長谷川 拓也1篠原 雅尚3 (1.海洋研究開発機構、2.京都大学、3.東京大学)

キーワード:黒潮大蛇行、海面高度、海底圧力

日本南岸を流れる黒潮は,大蛇行(LM)流路と非大蛇行(NLM)流路という比較的安定な流路を数年から数10年の時間スケールで交互にとる.1981-1984年の大蛇行流路を除くと,過去に発生した大蛇行流路(1975-1980, 1986-1988, 1989-1990, および2004-2005)は,すべて三宅島の北の水路を通る非大蛇行接岸流路から遷移したことが知られている.そこで,潮位データ(1961-2018),衛星海面高度データ(1993-2018),海底圧力データ(2014-2017),および海洋速報(1961-2018)を用いて,2017年9月に発生した大蛇行流路の形成とその後の振る舞いを過去の大蛇行流路と比較した.その結果,2017年の大蛇行流路は,八丈島の南の水路を通過する非大蛇行離岸流路から遷移したことがわかった.また,1980-1984年と2017年の大蛇行流路の蛇行の谷は,他の大蛇行流路と比べるとより東に位置し,しばしば伊豆海嶺上に至る.この様に,1980-1984年と2017年の大蛇行の形成過程と流路の形は他の大蛇行と比べて特異である.したがって,黒潮大蛇行流路には二つのタイプがあることが示唆される.ただし,他の大部分の大蛇行流路と同様に,2017年の大蛇行流路形成前にも,小蛇行と呼ばれる流路の擾乱が九州南東に発生し,その後,伊豆海嶺西側まで伝搬し,蛇行をさらに発達させた.九州東方を小蛇行が通過する約3カ月前には,海底圧力の大きな低下を観測し,傾圧不安定に伴う流路の擾乱の発達が重要であることは両タイプで共通している.