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[MIS14-17] 高知市のヒノキ人工林における窒素利用様式の25年間の変動
キーワード:窒素安定同位体比、窒素源、落葉、ヒノキ、下層植生
ヒノキは日本の主要な造林樹種である。ヒノキが生育するにつれて葉量が増加し、植栽後20年程度経過すると林冠が閉鎖する。この時、林床の光資源は少なくなり、下層植生の量は少なくなり、表土が流亡しやすくなる。この時期には間伐をすることで、植栽木の成長を促進するとともに、下層植生の発達を促すことができる。このように、ヒノキ人工林では、林齢に対応した下層植生の制御が求められ、ヒノキと下層植生の資源をめぐる競争関係を明らかにすることが必要である。土壌中の窒素に関しては、土壌の窒素安定同位体比は、深さや窒素の形態によって異なることが知られており、植物の葉の窒素安定同位体比は、土壌中の窒素源の指標として利用されている。ヒノキと下層植生の葉の窒素安定同位体比が異なる値を示せば、これらは土壌の異なる窒素を利用していると判断できる。本研究では、高知市の森林総合研究所四国支所構内のヒノキ林において20年生から45年生まで25年間にわたって落葉の窒素安定同位体比を測定し、ヒノキと下層植生の窒素源を評価した。
25年間におけるヒノキ、下層植生の落葉量の平均値は、それぞれ271g/m2/yr、46 g/m2/yrであった。ヒノキ落葉と林齢には相関関係は認められなかった。一方、下層植生の落葉は林齢に伴って指数関数的に増加した。落葉窒素量については、ヒノキでは林齢に伴って減少し、下層植生では指数関数的に増加した。落葉の窒素濃度の平均値は、ヒノキ、下層植生でそれぞれ6.5 mg/g、11.5mg/gであり、林齢に伴う明瞭な変化は認められなかった。ヒノキ、下層植生落葉の窒素安定同位体比の平均値は、それぞれ-3.37‰、-1.16‰であった。ヒノキ、下層植生の落葉の窒素安定同位体比は毎年それぞれ0.05、0.08‰低下した。一方、全体の落葉の窒素安定同位体比は毎年0.014‰の低下にとどまった。以上の結果より、ヒノキと下層植生の窒素安定同位体比はそれぞれ低下するが、同位体比の高い下層植生の割合が増えるので、落葉全体の窒素安定同位体比はほぼ一定に維持されていた。下層植生が増えることで窒素をめぐる競争が強くなり、ヒノキはより低い値を持つ窒素源を利用するようになると考えられた。
25年間におけるヒノキ、下層植生の落葉量の平均値は、それぞれ271g/m2/yr、46 g/m2/yrであった。ヒノキ落葉と林齢には相関関係は認められなかった。一方、下層植生の落葉は林齢に伴って指数関数的に増加した。落葉窒素量については、ヒノキでは林齢に伴って減少し、下層植生では指数関数的に増加した。落葉の窒素濃度の平均値は、ヒノキ、下層植生でそれぞれ6.5 mg/g、11.5mg/gであり、林齢に伴う明瞭な変化は認められなかった。ヒノキ、下層植生落葉の窒素安定同位体比の平均値は、それぞれ-3.37‰、-1.16‰であった。ヒノキ、下層植生の落葉の窒素安定同位体比は毎年それぞれ0.05、0.08‰低下した。一方、全体の落葉の窒素安定同位体比は毎年0.014‰の低下にとどまった。以上の結果より、ヒノキと下層植生の窒素安定同位体比はそれぞれ低下するが、同位体比の高い下層植生の割合が増えるので、落葉全体の窒素安定同位体比はほぼ一定に維持されていた。下層植生が増えることで窒素をめぐる競争が強くなり、ヒノキはより低い値を持つ窒素源を利用するようになると考えられた。