日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS14] 生物地球化学

2018年5月23日(水) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:木庭 啓介(京都大学生態学研究センター)、柴田 英昭(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター)、大河内 直彦(海洋研究開発機構、共同)、山下 洋平(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)

[MIS14-P01] 重金属イオン吸着による鳴き砂の発音特性への影響

橋本 賢1、*横尾 頼子2 (1.同志社大学理工学研究科、2.同志社大学理工学部)

キーワード:鳴き砂、重金属イオン、吸着

鳴き砂とは圧力を加えると音を発する砂である.主に海岸に見られるが,砂漠地帯などでも確認されており,世界中に存在している.日本でも少なくとも30ヶ所以上存在し,これらの保護を目的とした全国鳴き砂ネットワークがある.
微粒子や油を混入させ,鳴き砂の発音条件を調べる研究はこれまでに多く報告されている.しかし,化学物質の吸着による発音特性の変化を調べた研究は少ない.そこで,本研究では鳴き砂へ種々の重金属イオンを吸着・脱着させ音の影響を調べた.それにより,重金属汚染が鳴き砂の保全に与える影響を明らかにすることを目的とした.
重金属イオン未吸着の鳴き砂,Mn2+,Ni2+,Cu2+,Zn2+,Cd2+,Pb2+,Cr3+を所定の濃度・pHで吸着させた鳴き砂,吸着させた重金属イオンを超純水で脱着させた鳴き砂の発する音から,それぞれの音の周波数スペクトルを解析した.また,吸着実験・脱着実験で得られたろ液から重金属イオン濃度を測定し,重金属イオンの吸着量・脱着量を求めた.
重金属イオン未吸着の試料において,3つのピークが見られた.Cu及びMnを吸着させた試料において,明確な発音特性の消失が見られた.重金属を吸着した多くの試料で低周波領域の別のピークが見られ,高周波領域で認められていたピークが消失していた.超純水による脱着後は多くの試料が重金属イオン吸着前の鳴き砂の音に近づいた.吸着量と周波数スペクトルとpHの関係から,ヒドロキシ錯体が鳴き砂の発音特性に影響を与えることが示唆された.