日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS15] 地球流体力学:地球惑星現象への分野横断的アプローチ

2018年5月20日(日) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:伊賀 啓太(東京大学大気海洋研究所)、吉田 茂生(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、柳澤 孝寿(海洋研究開発機構 地球深部ダイナミクス研究分野、共同)、相木 秀則(名古屋大学)

[MIS15-P04] 底面が回転する円筒容器内の軸対称流: 速い流れと遅い流れの場合の比較

*伊賀 啓太1 (1.東京大学大気海洋研究所)

キーワード:回転流体、室内実験、軸対称流、境界層の構造

地球や惑星の大気では、軸対称な環境下でもしばしば非軸対称な流れが形成される。そのような非軸対称な流れは、円筒容器に水を入れて底の円盤を高速に回転させるという非常に単純な室内実験によって観察される。
このような現象を理論的に取り扱うためには、基本場となる軸対称流が必要となるが、そ軸対称流を境界層理論を用いて解析してきた。この理論解析は底の円盤の回転が速く、流れのエクマン数が十分に小さいことを仮定し、側壁や底の円盤の面に沿って薄い境界層が形成されることを前提として議論したものであるが、室内実験によって得られたデータを非常によく記述するものであった。
一方、ほぼ同じ設定であるが、底の円盤の回転が遅い場合についての流れについても、これまで調べられてきている。こちらの状況では流体の層全体で粘性が効き、その解析には差分化による数値計算が有効である。この手法に基づいて主にその鉛直循環の形状について議論がなされてきたが、我々の行った室内実験のような速い流れのパラメータは、それらの数値計算の設定がカバーする範囲を超えていた。
しかし、最近計算機資源の向上とともに、ある程度速い流れに対しても数値計算が行われるようになってきており、それらの結果を境界層理論に基づいて理論的に得られた結果と、いくつかの観点から比較することが可能になってきている。今回、この数値計算結果を理論解析がうまく予測できている特徴、両者の結果に相違が見られる特徴について議論する。