15:30 〜 15:45
[MIS17-06] 海水準変動に対する表層型ガスハイドレートの安定領域の応答
キーワード:表層型ガスハイドレート、ガスハイドレート安定領域、海水準変動、隠岐トラフ
日本海東縁のガスハイドレートは堆積物の比較的浅い部分に集積するのが特徴である.日本海東縁のようにガスハイドレート安定領域(BGHS)が浅い場合,胚胎されたガスハイドレートは周辺環境の温度・圧力変化の影響を受けやすい.中でも海水準変動に伴う水圧変化は,主要なBGHS変動因子である.本研究では隠岐トラフを例として,海水準変動に対する表層型ガスハイドレートのBGHSの応答を検討した.
隠岐トラフ南西縁の観測地点(OT-2A,水深763 m)での地温計測の結果,地温勾配は70.7 mK/m,BGHS深度は151 mbsfと求まった.最終氷期(LGM,20 Ka)をモデルとした低海水準期(変動量:-120 m)の試算では,BGHS深度は現在より24 m浅い127 mbsfとなった.さらに,最終間氷期(125 Ka)以降の海水準変動に対するBGHSの応答を検証した.OT-2A周辺の海底地盤をガスハイドレートの安定・不安定の観点から区分すると,(1)常に不安定な領域,(2)125 KaからLGMまでに不安定化した領域,(3)安定化と不安定化を繰り返す領域,(4)常に安定な領域,(5)125 Ka以降に拡大した安定領域,(6)LGM以降に安定化した領域,の6つの領域に分けられる.
高海水準期にBGHSの直上に生成したガスハイドレートは,その後の海水準低下により水とガスに分解する.この際に分解領域では,相転移に伴う体積変化および地盤支持力の低下,ガス・水の発生と移動等,海底の地形や物性の変化が予想される.隠岐トラフ南西部には大規模な海底地すべり群が認められ,その発生深度は水深400~500 mに集中している.これは上述の(3)が海底近傍に分布する水深と一致する.隠岐トラフ南西部の海底地すべりの発生要因として,BGHS変化に伴うメタンハイドレート分解を考慮した検討が必要である.
本研究には,経済産業省のメタンハイドレート開発促進事業の一部として,産業技術総合研究所の再委託により実施した調査データを使用した.
隠岐トラフ南西縁の観測地点(OT-2A,水深763 m)での地温計測の結果,地温勾配は70.7 mK/m,BGHS深度は151 mbsfと求まった.最終氷期(LGM,20 Ka)をモデルとした低海水準期(変動量:-120 m)の試算では,BGHS深度は現在より24 m浅い127 mbsfとなった.さらに,最終間氷期(125 Ka)以降の海水準変動に対するBGHSの応答を検証した.OT-2A周辺の海底地盤をガスハイドレートの安定・不安定の観点から区分すると,(1)常に不安定な領域,(2)125 KaからLGMまでに不安定化した領域,(3)安定化と不安定化を繰り返す領域,(4)常に安定な領域,(5)125 Ka以降に拡大した安定領域,(6)LGM以降に安定化した領域,の6つの領域に分けられる.
高海水準期にBGHSの直上に生成したガスハイドレートは,その後の海水準低下により水とガスに分解する.この際に分解領域では,相転移に伴う体積変化および地盤支持力の低下,ガス・水の発生と移動等,海底の地形や物性の変化が予想される.隠岐トラフ南西部には大規模な海底地すべり群が認められ,その発生深度は水深400~500 mに集中している.これは上述の(3)が海底近傍に分布する水深と一致する.隠岐トラフ南西部の海底地すべりの発生要因として,BGHS変化に伴うメタンハイドレート分解を考慮した検討が必要である.
本研究には,経済産業省のメタンハイドレート開発促進事業の一部として,産業技術総合研究所の再委託により実施した調査データを使用した.