日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS21] 南北両極のサイエンスと大型研究

2018年5月24日(木) 13:45 〜 15:15 201A (幕張メッセ国際会議場 2F)

コンビーナ:中村 卓司(国立極地研究所)、杉本 敦子(北海道大学 北極域研究センター)、杉山 慎(北海道大学低温科学研究所、共同)、野木 義史(国立極地研究所)、座長:末吉 哲雄(国立極地研究所)

13:45 〜 14:00

[MIS21-01] 大型研究計画「極域科学のフロンティア」の改定にむけて:マスタープラン大改訂にどう対応するか

*中村 卓司1杉本 敦子2杉山 慎2野木 義史1末吉 哲雄1 (1.国立極地研究所、2.北海道大学)

キーワード:極域科学、北極、南極

日本学術会議の学術の大型研究マスタープランは、今後10年程度で取り組むべき大型研究計画を、分野を問わず集めたものであった。その中で重点研究プロジェクトに採択されたものには、さらに文部科学省のロードマップ採択への道が開け、学術フロンティア予算が措置されるのではと期待されてきた。ところがこのところ文部科学省の大型研究予算の措置は極めて限定的となっており、学術会議のマスタープランへの提案についても現状を見据えた対応を迫られている。

2017年の学術会議マスタープランには2014年にひきつづき「極域科学のフロンティア」計画 が採択されている。過去から現在、未来にわたる地球環境の変動が際立って反映される南北両極域の重要且つ貴重な情報について、プラットフォームを整備活用して取得することで学際的研究の推進をはかるものである。両極の観測研究は重要で、北極では地球温暖化による平均気温の上昇が最大となり、気候変動の影響が最も顕著に現れ、生態系や地域住民の生活に影響を与えており、また世界経済の活動を変化させる可能性がある。一方の南極域では巨大な氷床の地球温暖化に対する応答も未だ不明な点が大きいなど、大規模な地球規模変動の可能性とその予測が重要課題である。海洋・大気循環を通じて連鎖している両極を単一のシステムとして捕らえることが必要である。計画では(1) 新内陸プラットフォームを活用した南極観測、(2) 北極域環境変動研究、(3) 総合解析による極域およびグローバルな地球システム変動の研究、の3つの側面での計画を提案した。

変貌しつつある大型研究予算と日本学術会議のマスタープランの現状を受け、本講演では大型研究をとりまく状況を紹介するとともに、これまでの極域科学の大型研究計画の取り組みをレビューし、セッションでの議論や今後の取り組みに対する検討の口火を切ることを目的とする。南極・北極は、宇宙惑星科学、大気水圏科学、固体地球科学など多様な分野が結束してとりかかるべき重要な研究フィールドとなっており、ぜひとも国民やステークホルダーにその重要性を広く理解いただくことが肝要であり、JpGUの皆様の支援を得たいと考える。