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[MTT38-02] 複数センサーで探る火山噴火に伴う大気波動のダイナミクス: 2015年口永良部島火山噴火による電離圏擾乱
キーワード:GPS、GNSS、TEC、火山噴火、超低周波音、広帯域地震計
地表で発生した~10mHzより低い周波数帯の大気波動は、高度約300kmの電離圏へと到達し、しばしば電離圏大気の擾乱として観測される。火山噴火による大気擾乱によっても、しばしば電離圏擾乱が励起され、観測されてきた。 我々はこれまで、火山噴火の経緯や地表観測の成果とGNSS-TEC (全地球衛星測位システム電離圏全電子数) 観測の結果とを比較し、火山噴火がどのような電離圏擾乱を励起したのか調べてきた。本発表では、2015年口永良部火山の事例を中心に報告し、論じる。 口永良部島火山は九州の約100km南方に位置する火山島にある火山である。口永良部島では2014年に引き続き、2015年5月以降、爆発的噴火が数回発生した。その中でも2015年5月29日0:59UTの噴火が電離圏擾乱を励起している。この擾乱はGEONETの1 Hzサンプリングのデータから得られるGNSS-TECの擾乱として確認した。 口永良部島火山噴火に伴うGNSS-TECの擾乱は、約10 mHzのN型波動と約5 mHzの15 分程度続く波動が火山を中心に伝播していた。一方で、地上に展開されている広帯域地震計や気圧計から、10 mHz程度の気圧変動が伝播する様子が確認されている。TECのN型波動は地表付近の気圧変動の伝播ととよく対応した。一方で、5 mHzの波動は地表付近の観測では確認できない。