[O02-P15] 雷雲発生時の状況と雨量、移動方向の関係の研究
キーワード:雷雲
1、概要
夏の大雨による被害を減らすことを目的に、雷雲がもたらす雨量と移動方向という2点について研究をした。具体的に、雷雲が発生した時の現地気温、湿度と雨量のデータを散布図にまとめ、関係性の有無を調べた。移動方向については、発生を確認した雷雲がそれぞれどのような動きをしたのかを図にまとめた。その結果、現地気温、湿度と降水量の間にはほぼ関係性がないこと、陸上と海上で移動方向が異なることが分かった。
2.研究内容
今回は「現地気温、湿度のそれぞれと雨量の関係」、「雷雲の移動方向」の2点についてデータ解析を行った。この研究において、前者を研究(1)、後者を研究(2)とした。
3.研究(1)について
3-1 方法
梅雨明けから3ヶ月間(7月19日から10月18日)雷雲の発生時の時刻、発生場所、消滅するまでの時間のデータを東京電力のホームページより、雷雲発生時の気温、湿度、降水量のデータを気象庁のホームページより収集した(データの範囲は関東地方とした)。その後、気温、湿度、降水量のデータを散布図にまとめ、それぞれの関係性を可視化した。
3-2 結果
・陸上での雷雲発生回数…20回
・上記20回のうち雨が降った回数…7回
・最高気温…32℃(8月9日 東京)
・最高湿度…99%(9月18日 千葉、9月23日 横浜)
・最大雨量…39.5mm(8月30日 所沢)
図1,2は気温、湿度のそれぞれと降水量の関係を散布図にまとめたものである。
気温と降水量の相関係数は0.26、湿度と降水量の相関係数は-0.073(どちらも有効数字2桁)とほぼ相関がみられなかった。
3-3 考察
・雷雲は、14:00~15:00頃に多く発生していると分かった
この原因は、12:00頃に南中した太陽によって、地面が暖められるまでに2時間程かかることであると考えられる。これを確かめるため、日射と降水量の関係について検証したい。
・雷雲が発生しても毎回雨が降るわけではないことが分かった
これについて、「雨が降るという現象が落雷の振動と関係を持っている可能性がある」とご指摘いただいた。そのため、今回降雨を確認したもので落雷が起きたかどうか確かめる必要がある。また、今後落雷と降雨の関係性の有無について調査したい。
・図1,2より、現地の気温、湿度はのちの雨量にほとんど関係していないことが分かった
4. 研究(2)について
4-1 方法
図3で示したように雷雲が発生した場所を赤い円で囲む。この作業を雷雲が消滅するまで行い、その画像を重ねる(図4)。赤い円が描く道の概形が緯度(図4の横線)に対して45°未満、45°以上、その他とそれぞれどのような角度を持つか調査した。角度を45°に設定したのは、最終的に移動方向を八方位で示すためである。
4-2 結果
図5は移動方向の角度が45°以上のもの、図6は移動方向の角度が45°未満のものの例である。具体的な回数は以下に示すとおりである。(その他には、ほとんど移動がみられなかったもの、10分以内に消滅したものが含まれる)
・雷雲発生確認総数…53回(・陸上での発生回数…20回・海上での発生回数…33回)
・陸上で発生を確認したもの(・移動方向の角度が45°未満…2回・移動方向の角度が45°以上…4回・その他…14回)
・海上で発生を確認したもの(・移動方向の角度が45°未満…18回・移動方向の角度が45°以上…8回・その他…7回)
4-3 考察
・移動方向の角度は陸上より海上の方が小さいことが分かった
これは原因の究明ができていないが、風向、地形などと密接に関わっていると考えられる。これに関しても今後研究を進めたい。
5.参考文献
・「雨量・雷観測情報」,<http://thunder.tepco.co.jp/>
・「気象庁|過去の気象データ検索」,
<http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php>
6. 謝辞
気象予報士の武田康男さん、横浜国立大学の筆保弘徳先生をはじめ、この研究に携わってくださったすべての方々に感謝申し上げます。
夏の大雨による被害を減らすことを目的に、雷雲がもたらす雨量と移動方向という2点について研究をした。具体的に、雷雲が発生した時の現地気温、湿度と雨量のデータを散布図にまとめ、関係性の有無を調べた。移動方向については、発生を確認した雷雲がそれぞれどのような動きをしたのかを図にまとめた。その結果、現地気温、湿度と降水量の間にはほぼ関係性がないこと、陸上と海上で移動方向が異なることが分かった。
2.研究内容
今回は「現地気温、湿度のそれぞれと雨量の関係」、「雷雲の移動方向」の2点についてデータ解析を行った。この研究において、前者を研究(1)、後者を研究(2)とした。
3.研究(1)について
3-1 方法
梅雨明けから3ヶ月間(7月19日から10月18日)雷雲の発生時の時刻、発生場所、消滅するまでの時間のデータを東京電力のホームページより、雷雲発生時の気温、湿度、降水量のデータを気象庁のホームページより収集した(データの範囲は関東地方とした)。その後、気温、湿度、降水量のデータを散布図にまとめ、それぞれの関係性を可視化した。
3-2 結果
・陸上での雷雲発生回数…20回
・上記20回のうち雨が降った回数…7回
・最高気温…32℃(8月9日 東京)
・最高湿度…99%(9月18日 千葉、9月23日 横浜)
・最大雨量…39.5mm(8月30日 所沢)
図1,2は気温、湿度のそれぞれと降水量の関係を散布図にまとめたものである。
気温と降水量の相関係数は0.26、湿度と降水量の相関係数は-0.073(どちらも有効数字2桁)とほぼ相関がみられなかった。
3-3 考察
・雷雲は、14:00~15:00頃に多く発生していると分かった
この原因は、12:00頃に南中した太陽によって、地面が暖められるまでに2時間程かかることであると考えられる。これを確かめるため、日射と降水量の関係について検証したい。
・雷雲が発生しても毎回雨が降るわけではないことが分かった
これについて、「雨が降るという現象が落雷の振動と関係を持っている可能性がある」とご指摘いただいた。そのため、今回降雨を確認したもので落雷が起きたかどうか確かめる必要がある。また、今後落雷と降雨の関係性の有無について調査したい。
・図1,2より、現地の気温、湿度はのちの雨量にほとんど関係していないことが分かった
4. 研究(2)について
4-1 方法
図3で示したように雷雲が発生した場所を赤い円で囲む。この作業を雷雲が消滅するまで行い、その画像を重ねる(図4)。赤い円が描く道の概形が緯度(図4の横線)に対して45°未満、45°以上、その他とそれぞれどのような角度を持つか調査した。角度を45°に設定したのは、最終的に移動方向を八方位で示すためである。
4-2 結果
図5は移動方向の角度が45°以上のもの、図6は移動方向の角度が45°未満のものの例である。具体的な回数は以下に示すとおりである。(その他には、ほとんど移動がみられなかったもの、10分以内に消滅したものが含まれる)
・雷雲発生確認総数…53回(・陸上での発生回数…20回・海上での発生回数…33回)
・陸上で発生を確認したもの(・移動方向の角度が45°未満…2回・移動方向の角度が45°以上…4回・その他…14回)
・海上で発生を確認したもの(・移動方向の角度が45°未満…18回・移動方向の角度が45°以上…8回・その他…7回)
4-3 考察
・移動方向の角度は陸上より海上の方が小さいことが分かった
これは原因の究明ができていないが、風向、地形などと密接に関わっていると考えられる。これに関しても今後研究を進めたい。
5.参考文献
・「雨量・雷観測情報」,<http://thunder.tepco.co.jp/>
・「気象庁|過去の気象データ検索」,
<http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php>
6. 謝辞
気象予報士の武田康男さん、横浜国立大学の筆保弘徳先生をはじめ、この研究に携わってくださったすべての方々に感謝申し上げます。