日本地球惑星科学連合2018年大会

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[JJ] ポスター発表

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[O-02] 高校生によるポスター発表

2018年5月20日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

[O02-P24] 毒沢鉱泉の泉質についての研究

*柳澤 良亮1、*桃井 義和1釜田 陽光1上條 琢巳1 (1.長野県諏訪清陵高等学校)

キーワード:温泉の泉質、鉄

毒沢鉱泉の泉質についての研究



長野県諏訪清陵高等学校 天文気象部 地学班

2年 柳澤良亮 釜田陽光 桃井義和 上篠琢巳


研究の動機及び目的
諏訪地域にある温泉の排水。これを何かに利用できないかと考え研究を始めた。最初に温泉の成分を調べた。すると下諏訪温泉の毒沢鉱泉だけ泉質が異なっていることが分かった。また、「キリンレモン」を毒沢鉱泉に入れると濃い黄色になると聞いた。なので、この研究では、何が毒沢鉱泉の泉質を決めるのかを知ることを目的にした。



2 清涼飲料水と毒沢鉱泉との反応について

2.1.1実験1の方法

どの成分がキリンレモンと鉱泉水の反応を起こすのか知りたい。だから、10種類の清凉飲料水10mL(キリンレモン伊賀の天然水・レモン炭酸水・グレープフルーツ・いろはす・ぶどう・ウィルキンソン炭酸水・スプライト・三ツ矢サイダー・オランジーナ・フレンチ・スパークリング・水道水炭酸)に毒沢鉱泉水10mLを入れた。

2.1.2実験1の結果・考察

 10種類の清涼飲料水のなかで5種類のそれが濃い黄色に変化した。(キリンレモン・いろはすぶどう・スプライト・三ツ矢サイダー・オランジーナ・フレンチ・スパークリング)

濃い黄色に反応した清涼飲料に共通して含まれていた成分は、グルコース、アスコルビン酸とクエン酸であった。

2.1.3実験2の方法

鉱泉水10mLにクエン酸1g、アスコルビン酸1g、グルコース1gをそれぞれ入れた。

2.1.4実験2の結果

クエン酸のみ濃い黄色に変化した。 

2.1.5実験3の方法

鉱泉に含まれる鉄とクエン酸が反応していることを確かめる。そのためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を実験2に用いたクエン酸との溶液にいれた。

2.1.6実験3の結果・考察

 無色透明に変化した。だから実験2の反応はクエン酸によって実験2の反応が起こされたと考えた。



2.1.7実験4の方法

他のどの下諏訪温泉にも鉄が含まれていない。このことを確かめるために、下諏訪温泉「綿の湯」10mlにクエン酸1gを入れた。

2.1.8実験4の結果・考察 

綿の湯の水の色は変わらなかった。このことからキリンレモンの反応は、下諏訪地域の中では、毒沢鉱泉のみの反応だと考えられる。そこで、何が毒沢鉱泉と他の下諏訪温泉の違いを作るのか。この疑問を解決するためにフィールドワークを行った。



毒沢鉱泉付近のフィールドワーク 

3.目的

毒沢鉱泉はなぜ鉄を比較的多く含んでいるのか。

3.1.1実験6の方法

どの地点が鉄を多く含んでいるのか確かめるために、様々な地点で採取した河川水のパックテスト(鉄I・鉄II)を行った。

3.1.2実験6の結果・考察表5パックテスト反応

砥川を境に毒沢鉱泉側は諏訪大社下社秋宮側に比べて、多くの鉄を含んでいることが考えられる。

3.1.3実験7の方法

各地点で採取した河川水のpHを測定した。

3.1.4実験7の結果・考察

pHの値が低い地点では鉄イオンが多く含まれていた。pHの値が低い河川水は多くの鉄を含んでいると考えられる。

5.仮説

毒沢付近の地下では、毒沢側に文象斑岩が乗り上げた(諏訪の自然誌2017地質編)断層がいくつもある。そして、その断層に沿って破砕帯・変質帯があった。

毒沢の南西には赤渋沢層があり、地下水が貯まっていた。(新和田トンネル有料道路工事誌)また、他の下諏訪温泉の地下は石英閃緑岩283m(下諏訪と上諏訪の境)で温泉がでてきた。

(稲垣益次)このことから、下諏訪温泉と毒沢鉱泉は異なる深さの地下水から湧き出ていると考えた。だから泉質が異なると考えられる。



5.課題

本研究により毒沢鉱泉と他の下諏訪温泉との水質的違いが分かった。しかし、その原因となると考えている地下の地質的違いを確かめることができなかった。今後は更に地下水がある位置を知るために、フィールドワークを行い地下の緻密なデータを集める。また、他の下諏訪温泉が属す地下水の位置を調べる。



6.謝辞

本研究を行うにあたり、毒沢鉱泉神乃湯 小口富明氏 下諏訪役場の方々・長野県道路公社の方々に協力していただきました。ここに感謝を申し上げます。



 7.参考文献

1)KIRIN 成分表示

http://www.kirin.co.jp/products/list/nutrition/softdrink/

2)日本コカ・コーラ株式会社 成分表示

http://www.cocacola.co.jp/brands/i-lohas/i-lohas10

3)アサヒ飲料 成分表示

http://www.asahiinryo.co.jp/products/list/nutrition/0002.html

4)サントリー 成分表示

http://products.suntory.co.jp/d/4901777303584/

5)探究 諏訪の自然誌2017地質編

6)長野県地質図活用普及事業研究会編著,2015年11月,「長野県デジタル地質図2015」