[O02-P32] 東京都新宿区落合地域における水文地質的構造の推定
キーワード:地下水、武蔵野台地
筆者の所属する海城中学高等学校地学部は、2009年から9年間に渡って学校付近の地下水環境を調査してきた。その一環として2011年から高田馬場地域において、地下水位の計測を2地点の井戸にて行っている。そのうちの一つの井戸において無降雨期間に地下水位が突如低下する現象が観測された。そもそも高田馬場を含む武蔵野台地東部は地下水が豊富ではないためか、東京の地下水研究であまり取り扱われない地域である。この現象を元に武蔵野台地東部の浅層地下水を水文地質的な観点から考察する。
一般的に、武蔵野台地の浅層地下水では降水イベントに応じて一連の、水位の上昇及び下降変動が見られる。その個々のイベントの変動グラフは基本的に全て相似形であり、なおかつ降水時以外の短期的な変動はほぼ見られない。しかし我々の観測井において、無降雨期に地下水位が突如低下する現象は観測期間の2015年11月~2016年10月の間に大小合わせて8回発生しており、最大の下降幅は約2.3mと降水による最大の上昇幅を上回っている。
この現象は地下水位が約28.3m T.P.に達すると必ず発生していることから、地質的な要因が引き起こしているものと考えられる。ボーリングデータによるとこの標高は透水性の武蔵野ローム層と難透水性の下末吉ローム層の境界面に近い。しかしながら、難透水性の地層中を地下水位が素早く下降することは考えにくいため、現象と地質的構造の間に齟齬が生じている。なお、この現象は『鋸歯型』として『水循環における地下水・湧水の保全』(東京地下水研究会編, 2003)においても紹介されている。
一般的に、武蔵野台地の浅層地下水では降水イベントに応じて一連の、水位の上昇及び下降変動が見られる。その個々のイベントの変動グラフは基本的に全て相似形であり、なおかつ降水時以外の短期的な変動はほぼ見られない。しかし我々の観測井において、無降雨期に地下水位が突如低下する現象は観測期間の2015年11月~2016年10月の間に大小合わせて8回発生しており、最大の下降幅は約2.3mと降水による最大の上昇幅を上回っている。
この現象は地下水位が約28.3m T.P.に達すると必ず発生していることから、地質的な要因が引き起こしているものと考えられる。ボーリングデータによるとこの標高は透水性の武蔵野ローム層と難透水性の下末吉ローム層の境界面に近い。しかしながら、難透水性の地層中を地下水位が素早く下降することは考えにくいため、現象と地質的構造の間に齟齬が生じている。なお、この現象は『鋸歯型』として『水循環における地下水・湧水の保全』(東京地下水研究会編, 2003)においても紹介されている。