日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] ポスター発表

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[O-02] 高校生によるポスター発表

2018年5月20日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

[O02-P51] 鳴き砂海岸の形成過程

*大楽 悠華1、*小幡 柾貴1 (1.福島県立磐城高等学校)

鳴き砂は、砂に含まれる石英同士が擦れ合うことにより、高音の特徴的な音を発する砂のことである。福島県いわき市には、豊間海岸という鳴き砂海岸が存在する。先行研究により、この鳴き砂は、豊間海岸の北に位置する夏井川の細屑物が供給源であることが判明している。また、豊間海岸は岬と岬に挟まれたポケットビーチと呼ばれる特徴のある海岸である。このポケットビーチは閉塞的な海域が形成されるため、閉塞海域内での漂砂移動が少なく、運搬された漂砂などが堆積しやすい地形となっている。そのため、豊間海岸では砂が鳴くと考えられる。しかし、夏井川から豊間海岸までの、砕屑物の運搬経路は不明である。そこで、運搬経路を解明するため、豊間海岸周辺の沿岸海流の流れを調べた。

 方法としては、豊間海岸と、夏井川の北側に位置する四倉海岸の石英含有率の南北方向の変化を比較した。豊間海岸の石英含有率は、先行研究を参考にした。四倉海岸の石英含有率は、南北40箇所で砂を採取し、双眼実体顕微鏡を用いて調べた。この際、スライドガラスの1mm×1mm格子状の交点121箇所の砂を対象とした。

 まず、豊間海岸の南北方向の石英含有率を比較した結果、北から南にいくにつれ、77%から49%と減少する傾向にあることが分かった。次に、四倉海岸についての結果である。四倉海岸では石英含有率が高いところでは76.2%、低いところでは56.4%となり、その地点はまばらであったが、採取地点の北側7地点の石英含有率はわずかに高く、中心周辺の採取地点の石英含有率はわずかに低い傾向が見られた。

 以上の結果より考察をすると、豊間海岸付近の沿岸海流は北から南に向かって流れていると判明した。そのため、夏井川の砕屑物は海に流出後、沿岸海流によって南へ運搬され、豊間海岸に堆積したと考えられる。また、四倉海岸については、石英含有率の最も高い地点と最も低い地点の差が豊間海岸に比べ小さく、石英含有率の大きな傾向が見られなかった。この差については、テトラポッドが関係していると考える。四倉海岸は沖合にテトラポッドが並んでいるが、豊間海岸にテトラポッドは無い。そのため、四倉海岸ではテトラポッドにより海流が撹乱され、堆積することにより石英含有率に大きな傾向が見られなかったのではないかと考える。北側7地点の石英含有率がわずかに高かったことについては、四倉海岸の北の端が岬のように突出しているため砂が堆積しやすくなっていることが原因だと考える。
 今後の展望としては、四倉海岸のテトラポッドの陸側と沖合側で砂を採取し、沿岸海流の流れの傾向を見つけていきたいと思う。