日本地球惑星科学連合2018年大会

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[JJ] ポスター発表

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[O-02] 高校生によるポスター発表

2018年5月20日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

[O02-P57] 校有林の下層植生をよみがえらせるために ~チョークによる土壌pH矯正とシカ防護柵の設置~

*吉田 詩穂1、*吉田 愛加里1、*錦 ひかる1、*中村 耕作1 (1.京都府立嵯峨野高等学校)

キーワード:土壌pH、チョーク、シカ防護柵

近年、シカによる森林生態系への被害が報告されている。また、下層植生の衰退は特に注目すべきである。約70数年前、調査区である嵯峨野高校校有林に、シダとヒノキが植林された。また、部分的に広葉樹混合林へ遷移している里山だ。現在、確認されているほとんどの植生は、コシダとウラジロだ。さらに、土壌侵食が、部分的に確認された。そこで、本研究の目的はpHが低い土壌のpHを改善することによって下層植生を復活させることである。これにより、休眠している種を刺激し、発芽、成長を促すことができる。資材にはダストレスチョークを用いた。これは、主成分が酸化カルシウムであり、ホタテガイの貝殻を約10%含むものである。まず、肥料取締法に基づいて植害調査を行った。畑のA層の土壌と赤玉、校有林のB層の土壌を用土混ぜて用意した。施肥区の発芽率はほとんどよかった。さらに施肥区の葉長はコントロール区より短く施肥量が増すにつれてその傾向が強くなった。これらの結果から植害は少しだったと考えられる。 チョーク施肥量はアレニウス表(目標pH6.5)をもとに決め、土壌表面に施肥した。そのため、実際に校有林でチョークを施肥する前に、一時的にチョークの施肥量を決めるために予備実験を行った。まず、採取された校有林の針葉樹林下の根系圏土壌を, 風乾細土(2 mm以下)にした。その風乾細土を1/5000aワグネルポットに校有林の仮比重で充填した。仮比重とは、単位容積当たりの固相重量で、校有林の仮比重は、0.966だった。チョーク施肥量はアレニウス表(目標pH6.5)をもとに決め、土壌表面に施肥した。設置は校有林の針葉樹下を想定し校内のその環境に近い場所に設置した。その後、土壌pHを測った(土壌:水=1:2.5)。この結果より、施肥から一ヶ月後の測定では、チョークの施肥量による土壌pHの違いは見られず、下層の土壌pHは上昇していなかった。計測により、施肥から2か月後、深さ11cmのところでpHの上昇を確認した。具体的には、表層6.68、次層5.12、最下層4.68だった。今後は、施肥効果の持続性を検討する必要がある。これらの結果をもとに、校有林に1.8m×1.8m×0.5mの5つのシカからの防護柵を設置し、チョークの粉末を土壌表面に施肥した。それらの設置場所は、地形と傾斜を考慮し、決定した。これらの場所で、土壌が荒れないように、地下を含めた植物を引き抜いた。現在、観察を続けている。