日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] ポスター発表

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[O-02] 高校生によるポスター発表

2018年5月20日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

[O02-P66] 古狩野湾復元のための土壌および遺伝子試料分析手法の検証と試行

*鶴谷 柊朔1、*小川 晃平1播本 泰知1中谷 大輝1、*渡邉 充司1 (1.静岡県立韮山高等学校)

キーワード:縄文海進、ウバメガシ、伊豆半島

昨年の研究で古狩野湾の海岸線について(1)ボーリング中の貝殻片の有無及び(2)内陸に生息する海岸性植物のウバメガシ群落の分布を用いて推定した。しかし、(1)では貝殻片の入らない地層については検証が不十分であり、(2)では内陸部のウバメガシが縄文海進の時に取り残されたものなのかが不確定である。このことから、A.内陸部と沿岸部のウバメガシの個体差の確認と、B.新たな陸成層と海成層の判別方法の確立が必要であると考え、研究を行った。

Aの観点からは、ウバメガシの沿岸部と内陸部の個体の葉の大きさの計測と葉緑体DNAの検出を行った。6000年の縄文海進によってウバメガシが内陸に遷移してきたとすると、その間にそれぞれの形質やDNAが変化している可能性がある。そこで、ウバメガシからDNAを抽出し,葉緑体DNAの遺伝子解析を試みた。また、沿岸部と内陸部のウバメガシの葉の大きさと形状の違いを調べ、形態的差異がみられるかを検討した。

しかし、DNAは抽出できたものの、遺伝子解析を行うことはできなかった。そこで、新たな手法を検討し、現在実験を進めている。また、葉の形状と採取地点について相関は見られなかった。これは、採取する葉の生息環境の条件が定まっていなかったことが原因であると考えられ、現在条件を定めて再実験を行っている。

Bの観点からは、函南町塚本の深さ60mのボーリング試料を用いて、土壌中の硫黄濃度・電気伝導度・pH・含まれる珪藻の種について調べた。硫黄濃度を調べることによって海成層と陸成層を判別できることが知られているが、学校の設備では行えない。そこで、より簡便な判別方法を開発するために、同じ試料を用いて電気伝導度・pH・含まれる珪藻を調べ、硫黄濃度のデータと比較することによって地層の形成環境の判別に有用な手段であるか検討した。

その結果、硫黄濃度は深度8-10m、25-44mで上昇した。深度8-10mからは天城山皮子平噴火の際に噴出した特徴的な噴石が見つかっており、この地層は噴火の影響を受けていると考えられる。また、30-36mには貝殻片が含まれていたことから、25-44mは海成層であったと考えられる。これと比較して、電気伝導度もほぼ同じ深度で上昇した。pHもほぼ同じ深度で酸性になったが、30-36mでは弱塩基性となった。これは、貝殻片に含まれる炭酸カルシウムの影響を受けたと考えられる。珪藻は、陸成層には見られない海水性珪藻が海成層から多数見つかった。
以上のことから、海成層と陸成層のより簡便な判別方法として電気伝導度測定と珪藻の観察が有用であることが分かった。