[O02-P68] 高高度発光現象「エルブス」の形状について
高高度発光現象とは高度約50~100kmの中間圏において雷に伴って起こる発光現象であり、スプライトやエルブスなどがある。また、エルブスは高度約100km付近で発生するドーナツ状の発光現象である。スプライトより発生頻度が高いといわれているが、高高度発光現象の中でも発光継続時間が1ミリ秒以下と極めて短い為、私たちが実際に観測できているデータ数はスプライトに比べて少ない。また発光時間が短いゆえに、カメラのコマ数が合わず、明るさのピークが写っていないことも多い為、多くのエルブス画像は不鮮明である。
高高度発光現象を研究する目的として高高度発光現象の発生メカニズムや発生条件を明確にしたいと考えている。その結果から、直接観測が難しい超高層大気(高度50~100km)でどのような化学現象が起こっているのかを考察することを最終目的としている。さらに、高高度発光現象がオゾン層を破壊している可能性があるという論文があり、高高度発光現象が地球環境に及ぼす影響の考察に繋げたい。
私たちは、全国32の高校と共同研究を行っている。これは世界最大の高高度発光現象観測チームとなっており、多くのデータを保有している。私たちは普段、それらのデータを基に研究しており、とりわけエルブスについての研究をしている。私たちがエルブスに着目している理由は、エルブスは未だ解明されていない多くの謎があり、研究対象として興味深い現象だからである。エルブスはドーナツ状に発生するが、観測された画像を見ると、黒く見える部分である内円の中心と、明るく見える部分である外円の中心はずれているように見える。しかし、その原因は解明されていない。また、エルブスに厚みがあるのかという点も未解明である。共同観測校の中には、未解明であるエルブスの縞模様について研究している学校もある。
エルブスの研究をする上での課題は、エルブスの画像が暗く、鮮明でないことであった。しかし、昨年度の先行研究として本校の先輩方はエルブスの画像の鮮明化に成功したので、その方法を紹介する。デジタルな画像データは、膨大な量の単色であるドットからなっている。今回用いたグレースケールと呼ばれる画像において色の違いは白黒の濃さで表される。エルブスは周りの空より明るいが、その明るさは均一ではなく、中心から離れるにつれてだんだんと明るさの値が減少するため、外円の端を目視で判別することは難しい。しかしエルブスが映っている静止画ファイル(jpeg)の一定の値以上の明るさを持つドットを、RGB値255に置換することで、その部分は真っ白になり、エルブスの画像が鮮明化される。
今回、私たちはエルブスの厚みについて研究を行った。観測されたエルブスの画像は、画面上で明るく見える部分の上端から内円までの鉛直距離(これを上幅と呼ぶこととする)と、下端から内円までの鉛直距離(これを下幅と呼ぶこととする)を比較すると、上幅より下幅が長い画像が多い。遠近法から考えると、上幅が手前側にある部分なのでこちらの方が下幅よりも長くなりそうであるが、そうはなっていない。この分析結果から、私たちはエルブスが平面ではなく、厚みがあると仮説を立てた。その仮説を検証するために、撮影されたエルブスの画像を元に模型を作製し、画像と模型の見え方を比較してエルブスの厚みを考察した。
具体的な方法は以下の通りである。まず二地点以上から観測されたイベントであり、エルブスの全体像が画面上に映っているエルブスを選出した。そのエルブスについて、上述のように画像の鮮明化を行った。次に、それぞれの観測地点間の距離と、各観測地点からエルブスの外円の中心までの距離を測定する。そのために、エルブスの中心と、外円の両端の座標を出す。これは、鮮明化した画像を用い、Sprite Analyzerというソフトから求めることができる。このソフトは、多点観測の高高度発光現象の画像を用いて、そこに映り込んでいる恒星との位置関係から、高高度発光現象の高度と座標を特定することができるソフトである。観測地点の座標とエルブスの座標から、それぞれの観測地点間の距離と、各観測地点からエルブスの外円の中心までの距離を球面三角法の余弦法則を用いて求めることができる。そして、厚みのないエルブスと厚みのあるエルブスの模型を作り、縮小した地図上で、観測地点から模型のエルブスを実際に観察・撮影し、元の撮影画像と見比べて、同じように見えるかどうかを検証した。そして、最終的に、エルブスの上幅下幅の比が、模型の見え方と実際の観測画像で同じになるようなエルブスの模型を作製し、エルブスの厚みを判断した。
高高度発光現象を研究する目的として高高度発光現象の発生メカニズムや発生条件を明確にしたいと考えている。その結果から、直接観測が難しい超高層大気(高度50~100km)でどのような化学現象が起こっているのかを考察することを最終目的としている。さらに、高高度発光現象がオゾン層を破壊している可能性があるという論文があり、高高度発光現象が地球環境に及ぼす影響の考察に繋げたい。
私たちは、全国32の高校と共同研究を行っている。これは世界最大の高高度発光現象観測チームとなっており、多くのデータを保有している。私たちは普段、それらのデータを基に研究しており、とりわけエルブスについての研究をしている。私たちがエルブスに着目している理由は、エルブスは未だ解明されていない多くの謎があり、研究対象として興味深い現象だからである。エルブスはドーナツ状に発生するが、観測された画像を見ると、黒く見える部分である内円の中心と、明るく見える部分である外円の中心はずれているように見える。しかし、その原因は解明されていない。また、エルブスに厚みがあるのかという点も未解明である。共同観測校の中には、未解明であるエルブスの縞模様について研究している学校もある。
エルブスの研究をする上での課題は、エルブスの画像が暗く、鮮明でないことであった。しかし、昨年度の先行研究として本校の先輩方はエルブスの画像の鮮明化に成功したので、その方法を紹介する。デジタルな画像データは、膨大な量の単色であるドットからなっている。今回用いたグレースケールと呼ばれる画像において色の違いは白黒の濃さで表される。エルブスは周りの空より明るいが、その明るさは均一ではなく、中心から離れるにつれてだんだんと明るさの値が減少するため、外円の端を目視で判別することは難しい。しかしエルブスが映っている静止画ファイル(jpeg)の一定の値以上の明るさを持つドットを、RGB値255に置換することで、その部分は真っ白になり、エルブスの画像が鮮明化される。
今回、私たちはエルブスの厚みについて研究を行った。観測されたエルブスの画像は、画面上で明るく見える部分の上端から内円までの鉛直距離(これを上幅と呼ぶこととする)と、下端から内円までの鉛直距離(これを下幅と呼ぶこととする)を比較すると、上幅より下幅が長い画像が多い。遠近法から考えると、上幅が手前側にある部分なのでこちらの方が下幅よりも長くなりそうであるが、そうはなっていない。この分析結果から、私たちはエルブスが平面ではなく、厚みがあると仮説を立てた。その仮説を検証するために、撮影されたエルブスの画像を元に模型を作製し、画像と模型の見え方を比較してエルブスの厚みを考察した。
具体的な方法は以下の通りである。まず二地点以上から観測されたイベントであり、エルブスの全体像が画面上に映っているエルブスを選出した。そのエルブスについて、上述のように画像の鮮明化を行った。次に、それぞれの観測地点間の距離と、各観測地点からエルブスの外円の中心までの距離を測定する。そのために、エルブスの中心と、外円の両端の座標を出す。これは、鮮明化した画像を用い、Sprite Analyzerというソフトから求めることができる。このソフトは、多点観測の高高度発光現象の画像を用いて、そこに映り込んでいる恒星との位置関係から、高高度発光現象の高度と座標を特定することができるソフトである。観測地点の座標とエルブスの座標から、それぞれの観測地点間の距離と、各観測地点からエルブスの外円の中心までの距離を球面三角法の余弦法則を用いて求めることができる。そして、厚みのないエルブスと厚みのあるエルブスの模型を作り、縮小した地図上で、観測地点から模型のエルブスを実際に観察・撮影し、元の撮影画像と見比べて、同じように見えるかどうかを検証した。そして、最終的に、エルブスの上幅下幅の比が、模型の見え方と実際の観測画像で同じになるようなエルブスの模型を作製し、エルブスの厚みを判断した。