[O02-P73] 塩害土壌を改良する
キーワード:塩害、土壌改良、カルシウム化合物、発芽率
塩害とは、津波や灌漑などによって塩が土地に付着し、作物が育ちにくくなる現象である。参考文献より、塩害土壌に消石灰をまくと地力が復活すると知り、この現象に興味をもった。まず、塩害と土壌改良の仕組みについて説明する。土壌の粒子はもともと負の電荷を帯びている。その土に、塩化ナトリウムが入ることによって、電離した陽イオンであるナトリウムイオンが土にひきつけられる。これにより、塩害が発生する。その塩害土壌にカルシウム化合物を撒くと、電離した陽イオンであるカルシウムイオンが土についていたナトリウムイオンと置換することにより、土壌を改良できるとされている。
この研究では、消石灰を土に対してどの量で撒くと一番効率よく塩害土壌を改良できるのか、また、他のカルシウム化合物をまいても塩害土壌は改良されるのかを明らかにすることを目的とした。なお、本研究では、カイワレダイコンの発芽率を土壌改良の指標とした。
まずは予備実験として、塩分濃度によるカイワレダイコンの成長の違いを調べた。実験方法は、8つのポットに土をいれ、0~3%の8通りの濃度の食塩水(50ml)をしみこませた。その土の上に、カイワレダイコンの種を12粒ずつまいた。これらを1週間育て、それぞれの発芽率と茎、根の長さを調べた。その結果、塩分濃度が高くなるにつれて、発芽率も茎、根の長さも、低くなっていくことが分かった。また、発芽率の方が塩分濃度との関係が比例に近かったので、今後の実験では発芽率のみを土壌改良の指標とし、塩害土壌の初期条件として、海水の塩分濃度に近い3%の食塩水を土にしみこませた。予備実験により、津波による塩害を想定した3%の塩害土壌の場合の発芽率は、33.3%と分かったのでこの数値を基準とした。
次に、3種類のカルシウム化合物(水酸化カルシウム,塩化カルシウム、炭酸カルシウム)を用いて、これらのカルシウム化合物に塩害土壌を改良する効果があるかを調べた。実験方法は、3%の食塩水(50ml)をしみこませた土の上に、土に対して8通りの割合(0.06%、0.1%、0.25%、0.5%、1%、3%、5%。10%)でカルシウム化合物をまき、カイワレダイコンの種を12粒ずつ撒いた。これらを予備実験と同じように1週間育て、発芽率を調べた。その結果、どのカルシウム化合物も0.06%から0.5%付近の間で発芽率が大きく増加し、それよりも多く入れるにつれて、発芽率が下がっていった。また、この中で一番塩害土壌の改良に効果があるのは、水酸化カルシウムを土に対して0.06%の割合で撒く場合であった。同じカルシウムイオンをもつ3種類のカルシウム化合物に、このように塩害土壌への効果に違いが生じた原因は、それぞれのカルシウム化合物の陰イオンに違いがあるからであると予測している。
次に、カルシウムとイオン化傾向が近いマグネシウムに着目し、カルシウムと同様に塩害土壌を改良することが出来るのではないかと予測した。このことを確かめるために、カルシウム化合物と同じ手順で実験を行った。その結果、カルシム化合物ほどではないが、塩化マグネシウムにも塩害土壌を改良する効果があることが分かった。また、塩化マグネシウムの量と発芽率の関係をグラフにすると、カルシウム化合物に比べて相関がないことも分かった。
本研究により、消石灰以外のカルシウム化合物でも塩害土壌を改良することが出来ること、また、塩化マグネシウムにも土壌改良の効果があることが分かった。今後は、今回あまり着目することができなかった陰イオンについて調べ、他のマグネシウム化合物の土壌改良の効果も検討する、などを解決していきたい。
この研究では、消石灰を土に対してどの量で撒くと一番効率よく塩害土壌を改良できるのか、また、他のカルシウム化合物をまいても塩害土壌は改良されるのかを明らかにすることを目的とした。なお、本研究では、カイワレダイコンの発芽率を土壌改良の指標とした。
まずは予備実験として、塩分濃度によるカイワレダイコンの成長の違いを調べた。実験方法は、8つのポットに土をいれ、0~3%の8通りの濃度の食塩水(50ml)をしみこませた。その土の上に、カイワレダイコンの種を12粒ずつまいた。これらを1週間育て、それぞれの発芽率と茎、根の長さを調べた。その結果、塩分濃度が高くなるにつれて、発芽率も茎、根の長さも、低くなっていくことが分かった。また、発芽率の方が塩分濃度との関係が比例に近かったので、今後の実験では発芽率のみを土壌改良の指標とし、塩害土壌の初期条件として、海水の塩分濃度に近い3%の食塩水を土にしみこませた。予備実験により、津波による塩害を想定した3%の塩害土壌の場合の発芽率は、33.3%と分かったのでこの数値を基準とした。
次に、3種類のカルシウム化合物(水酸化カルシウム,塩化カルシウム、炭酸カルシウム)を用いて、これらのカルシウム化合物に塩害土壌を改良する効果があるかを調べた。実験方法は、3%の食塩水(50ml)をしみこませた土の上に、土に対して8通りの割合(0.06%、0.1%、0.25%、0.5%、1%、3%、5%。10%)でカルシウム化合物をまき、カイワレダイコンの種を12粒ずつ撒いた。これらを予備実験と同じように1週間育て、発芽率を調べた。その結果、どのカルシウム化合物も0.06%から0.5%付近の間で発芽率が大きく増加し、それよりも多く入れるにつれて、発芽率が下がっていった。また、この中で一番塩害土壌の改良に効果があるのは、水酸化カルシウムを土に対して0.06%の割合で撒く場合であった。同じカルシウムイオンをもつ3種類のカルシウム化合物に、このように塩害土壌への効果に違いが生じた原因は、それぞれのカルシウム化合物の陰イオンに違いがあるからであると予測している。
次に、カルシウムとイオン化傾向が近いマグネシウムに着目し、カルシウムと同様に塩害土壌を改良することが出来るのではないかと予測した。このことを確かめるために、カルシウム化合物と同じ手順で実験を行った。その結果、カルシム化合物ほどではないが、塩化マグネシウムにも塩害土壌を改良する効果があることが分かった。また、塩化マグネシウムの量と発芽率の関係をグラフにすると、カルシウム化合物に比べて相関がないことも分かった。
本研究により、消石灰以外のカルシウム化合物でも塩害土壌を改良することが出来ること、また、塩化マグネシウムにも土壌改良の効果があることが分かった。今後は、今回あまり着目することができなかった陰イオンについて調べ、他のマグネシウム化合物の土壌改良の効果も検討する、などを解決していきたい。