日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-05] キッチン地球科学 -手を動かして頭脳を刺激する実験-

2018年5月20日(日) 09:00 〜 10:30 コンベンションホールA(CH-A) (幕張メッセ国際会議場 2F)

コンビーナ:熊谷 一郎(明星大学理工学部)、久利 美和(東北大学災害科学国際研究所)、栗田 敬、座長:熊谷 一郎(明星大学理工学部)、久利 美和(東北大学災害科学国際研究所)

09:35 〜 09:50

[O05-03] 震源の4次元可視化ツール開発 ~熊本地震の理解を深める教育教材として~

*庄司 真史1小林 佑介1河合 研志2 (1.株式会社ライブ・アース、2.東京大学)

キーワード:地震、震源、4次元可視化、断層面、教材

地震大国日本では、3.11後も、熊本・鳥取・福島地震などM6クラスの活発な地震活動が継続しており、地震にますます注目が集まっている。

地震は地下断層面が滑って起きる現象なので、「面」で理解する必要がある。数十年もの間、ニュースでは本震だけがバツで表示されてきたが、本来は断層面が立体的にずれ、地上の広い地域に影響を与えている。例えば、3.11では南北約500km、東西約200kmのおよそ10万km2という広範囲全てが震源域とされているにも関わらず、仙台の数十km東方の一点だけが揺れたかのように語られている。

断層面は目視できないので、地下断層の滑りをより深く理解したいというニーズが長年あった。例えば、研究分野では、震源データを3次元的に可視化し、指で角度を変えたり拡大・縮小したりして地震を直感的に理解するツールが、マスメディアの分野では、わかりやすい地震の立体表示が求められていた。しかし、大量の震源データを処理するCPU/GPUなどのハードウェアと、3次元可視化を容易に実現するソフトウェアの両方の問題がボトルネックとなり、これまでは高度なプログラミングを必要とする高価な専門ソフトウェアしかなかった。

この問題を解決すべく、4D可視化技術を持つ(株)ライブ・アース(東京都港区、代表: 庄司真史)は、東京大学理学系研究科河合研究室との共同研究で、震源データの3次元可視化と可動時間軸の実装により、地下断層面を直感的に把握できる地震の4次元可視化ツール 「shingen(シンゲン)」を開発した。これにより、地震の位置、規模及び発生日時の情報から、視覚的に地震発生の状況のより正確な把握ができると共に、地下の断層面の適切な推定が行えるようになった。
教育分野でも、私が担当した、2016年7月4, 5日の教養学部「惑星地球科学実習」で、地球科学の初学者向けにshingenを活用し、多くの学生から立体思考の素晴らしいレポートがたくさん提出されている。