日本地球惑星科学連合2018年大会

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[JJ] ポスター発表

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[O-06] ジオパークがつなぐ地球科学と社会 ー10年の成果と課題ー

2018年5月20日(日) 10:45 〜 12:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、市橋 弥生(佐渡市教育委員会)、小原 北士(Mine秋吉台ジオパーク推進協議会、共同)、大野 希一(島原半島ジオパーク協議会事務局)

[O06-P31] エコカーを活用したジオツーリズムの展開

寺下 満1吉田 龍夫2、*堀内 悠3 (1.T・プラン株式会社、2.おおいた姫島ジオパークジオガイド、3.おおいた姫島ジオパーク推進協議会)

キーワード:電気自動車、ジオツアー、ジオガイド、エコツーリズム、ユニバーサルデザイン

おおいた姫島ジオパークは、大分県国東半島の北約5kmの周防灘に位置する東西約7km、南北約3km、周囲約17kmの姫島とその周辺海域であり、姫島火山群の活動や瀬戸内海の海水準の変化で生み出された地形・地質に基づくジオストーリーをコンパクトなジオツアーで学び楽しめることが魅力である。
本ジオパークでは、ツーリズムの範囲が限られていることや、住民の生活道がツーリズムに使われることなど、離島という特殊な環境を生かして効果的なジオツアーを行う工夫を行っている。現在、民間企業による、電気自動車や電動カートなどのエコカーを用いたジオツーリズムを実施しており、地域の実状に合った快適なツーリズムを提供できるという点で高評価を得ているので紹介する。
現在、T・プラン株式会社により運用されているエコカーは、1・2・5人乗り電気自動車および4人乗りの電動カートで、姫島港のフェリー乗り場からすぐの観光客が立ち寄りやすい場所で、レンタカーとして貸し出し等を行っている。
ジオツーリズムにおけるエコカーの利用は、排気ガスや走行音が少なく、地域の生態系や人の生活に影響を与えにくいなど、自然環境に配慮したツーリズムを展開できるという利点がある。また、小型のエコカーは、姫島の家並みの間を通る狭い道を通りやすいため、ジオツアーにおいては、集落の構造や民家の造りなど、人の暮らしを盛り込んだジオストーリーを展開しやすい。
現在運用されているエコカーのうち、2016年より導入された4人乗りの電動カートは、ガイドが同乗し、運転・案内しながらジオサイト等をめぐるジオツアーを試験的に実施している。この電動カートは、ゴルフカートを改造して作られたカートで、ドアがないため子供や高齢者も乗り降りが容易であり、速度も自転車程度の最高19 km/hのスピードであるため、安全でストレスなく走行できる。また、電動カートによるジオツアーでは、走行音が静かなため、ガイドが話す際の邪魔になることがなく、後部座席にも十分な案内ができる。さらに、窓がないため、風や波の音、鳥のさえずりなどの自然を感じながら回れるほか、地域の人とすれ違う際には挨拶も自然に生まれるなど、地域を五感で感じることができるというメリットがある。
現在は試験的な運用の段階であるが、今後、エコカーを活用したツーリズムを充実させ、高齢者や障害者にも本ジオパークの魅力を十分に感じ楽しんでもらえる環境を整えていきたい。