日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-07] 地球科学とアート -互いの創造を拡大する-

2018年5月20日(日) 13:45 〜 15:15 201A (幕張メッセ国際会議場 2F)

コンビーナ:笹岡 美穂(高知大学/株式会社SASAMI-GEO-SCIENCE)、船引 彩子(東京理科大学基礎工学部)、久保 貴志(黒部市吉田科学館、共同)、白石 智子、座長:石井 陽子(大阪市立自然史博物館)、笹岡 美穂(高知大学/株式会社SASMAI-GEO-SCIENCE)

13:55 〜 14:10

[O07-01] 立山黒部ジオパークにおける科学と美術の交流

*久保 貴志1尺戸 智佳子2 (1.黒部市吉田科学館、2.黒部市美術館)

キーワード:博物館、美術館

黒部市は2014年に日本ジオパークネットワークに加盟した立山黒部ジオパークを構成する自治体であり、地球科学の普及・振興だけでなく、地球科学や自然地理学的な知見を背景に、文化や産業の振興施策を行っている。
 黒部市美術館は、2014年より、地元をテーマとした作品の展覧会を行うことによって地域住民が新たな視点で地元を見つめなおすことを目的とした展覧会を行っている。

講演では2016年から黒部市美術館が美術作家を黒部市に招聘してリサーチを行い、そこから得られたインスピレーションで美術作家が制作した作品の展覧会ついて報告する。
2016年「下道基之展 風景に耳を澄ますこと」 《石》をテーマとした新作。美術作家の下道が黒部の自然環境を背景とした、人々が無意識に行っている「ものに様々な価値を与える」という創造的行為を見出し、写真と礫石器によるインスタレーションを行った。
2017年「佐々木愛展 風景と物語のあいだに」 《風景・記憶・物語》をテーマとした展覧会。リサーチによって作家が認識した地質学的な事象や、風景に近づくために、物語に記憶されている様々な風景を手掛かりに絵画や彫刻などの作品群が作成された。

2018年「河口龍夫展 ちノこうや」(仮称)黒部市と周辺自治体の大地のリサーチによって得られたインスピレーションをもとに作品と大地を呼応させる仕掛けを作り出す展覧会となる予定。

美術作家は、事象をとらえ、独自の認識によって新たなschemaを創造して作品(群)を構築し、美術学芸員はそれらを体系的に構成して提示し、社会に新たな概念を提唱する。地球科学の学芸員は、美術作家に対してインスピレーションの源泉となる岩石学的・地球史的な視点を提示し、作品を生み出す一助となることができる。こうして、科学的背景を持った作品群が生み出されることによって、社会に新たな角度から地球科学を認識させることができよう。