日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-07] 地球科学とアート -互いの創造を拡大する-

2018年5月20日(日) 15:30 〜 17:00 201A (幕張メッセ国際会議場 2F)

コンビーナ:笹岡 美穂(高知大学/株式会社SASAMI-GEO-SCIENCE)、船引 彩子(東京理科大学基礎工学部)、久保 貴志(黒部市吉田科学館、共同)、白石 智子、座長:白石 智子久保 貴志

16:00 〜 16:15

[O07-08] サイエンティフィック・イラストレーションにおけるアート性

★招待講演

*有賀 雅奈

キーワード:サイエンティフィック・イラストレーション、アート、ビジュアル・コミュニケーション

サイエンティフィック・イラストレーション(以下、SI)とは科学的な知識・情報を記録・表現・伝達する図解のことです。歴史的には16世紀の近代科学の初期から様々な分野で科学のコミュニケーションを支えてきました。現代では学術論文、解剖書、図鑑、教科書、科学雑誌などで利用され、研究者同士あるいは科学と社会のコミュニケーション、教育などを担っています。

SIはアート作品とは異なる性質を持っています。SIの第一の目的は科学的知識・情報を誤解なく相手に伝えることです。これに対し、アートの目的は自己表現、創造、問題提起、美の追求などがあります。また、アート作品は見る側に解釈の自由があり、より感性に訴える傾向があります。

一方で、SIはアート作品としても機能します。例えば、動植物の博物画は鑑賞目的で展示されることが多くありますし、子供たちは宇宙のSIを見ながら太陽系の外側を自由に想像します。美しくクリエイティブないグラフィカル・アブストラクトは研究者の目をひくでしょう。このようにSIには科学的知識を伝えるだけではない、アートとしての効果もみられます。では、そのようなSIの「アート性」はどこから来るのでしょうか。

この講演では、SIに内在するアート性について、描写対象そのものがもつ美や魅力、科学的知識という人の知がもつ美や価値観、描き手の個性や創造性の3つに分けて整理し、議論します。