日本地球惑星科学連合2018年大会

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-AE 天文学・太陽系外天体

[P-AE20] 系外惑星

2018年5月24日(木) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7ホール)

コンビーナ:生駒 大洋(東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻)、成田 憲保(東京大学)

[PAE20-P09] 太陽系外惑星データベースExoKyotoの開発と新しいハビタブルゾーンの検討への応用

*山敷 庸亮1前原 裕之2野津 湧太2野津 翔太2黒木 龍介1佐々木 貴教2 (1.京都大学大学院総合生存学館、2.京都大学大学院理学研究科)

キーワード:古典的ハビタブルゾーン、ExoKyoto、恒星フレア

太陽系外惑星データベース ExoKyoto を開発・公開した。ExoKyoto では、現在までに発見された系外惑星の基本情報のほか、惑星の温度や主星の情報など、様々な情報を一覧表示することができる。また、既に存在する他の データベースとの相互参照が可能なほか、欠損データ (惑星質量、半径等) の推定値表示、Stellar 画面や Google Sky を用いた系外惑星や周辺星の表示等、既存のデータベースにはない新機能が含まれる。異なる定義のハビタブルゾーンを比較する ExoKyoto 太陽系外惑星データベース(2017 年天文学会春季年会 P245a)に、恒星のフレア発生頻度の情報を入れ、また惑星境界上 のフレア強度を標準化するための指標 (Efe) 新たに定義し、導入した。Efe は、最大級の太陽フレアに相当するフ レア(∼10^32 erg)が発生した際の、地球の大気境界上における単位面積当たりのエネルギーを1とした値である。 797 の恒星に対しケプラー宇宙望遠鏡でフレアが観測されているが、その中で系外惑星 (Kepler 283 b, c, 491b, 957 b, 1558 b) が発見された系に対して、Efe を評価した。さらに、明るさ変動の情報から黒点面積と自転周期が 分かっている 64,748 個の Kepler 観測天体 (e.g., Maehara et al. 2017 PASJ) について、黒点面積から推定される フレア発生頻度を評価し、その 64,748 個の天体中に含まれる 11 個の系外惑星について評価を行なった。これらの 結果、例えば、ハビタブルゾーンに存在する Kepler-283 c について、地球相当の 1200 倍強のフレアエネルギーが 惑星境界に到達することが分かった。同様の評価手法を用いて、フレア発生頻度が観測されている Proxima Cen b について評価を行うと、通常時に5000倍,巨大フレア発生時には地球の5万倍のフレアエネルギーが惑星境界に到達する可能性がある。フレアエネルギーの評価は、ケプラーで観測された可視光エネルギーを元に、現在太陽フレアと同じと仮定して評価を行 なっているが、波長別のエネルギー分配の詳細などを、今後推定できればより詳細な系外惑星への影響の評価が可能になる。また、現在JAEAなどと共同で進めている大気を持つ惑星への影響評価についても紹介する。