10:45 〜 11:00
[PCG23-01] 東京大学アタカマ天文台計画と惑星科学への展望
★招待講演
キーワード:東京大学アタカマ天文台、赤外線天文学
多種多様な天体現象を理解するには多波長観測が重要である。その中で赤外線観測は非常に有用がツールであるが、赤外線は地球大気の強い吸収を受けるため地上からの高感度の観測は容易ではない。そこで東京大学天文学教育研究センターでは、チリ共和国アタカマ地方にあるチャナントール山頂に赤外線観測に特化した東京大学アタカマ天文台(TAO)6.5m望遠鏡を建設する計画を推進している。乾燥した環境と高い標高(5640m)故、近赤外線波長域の窓(J, H, Kバンド)が繋がり、連続的に観測可能になる。加えて、25~40μmの中間赤外線帯域に新たな窓が開ける。この帯域で観測できることがTAOの最大の強みであり、そのためにSWIMSとMIMIZUKUという2つの観測装置の開発が行われている。
2色同時多天体分光撮像装置であるSWIMS(Simultaneous-color Wide-field Infrared Multi-object Spectrograph)は、広い領域をカバーする撮像機能と多天体分光機能を持った近赤外観測装置である。短波長と長波長を同時に観測可能なカメラシステムはそれぞれ4台の2K × 2KのHAWAII-2RGで9.6分の視野をカバーする。多天体分光機能は波長分解能~1000で、同時に約40天体を同時に分光することができる。また、フィルターは広帯域4枚、中帯域8枚、狭帯域バンド10枚を保有する。さらに多天体分光ユニット内には面分光モジュールが搭載される。これら多機能性を用いることで星や系内天体以外にも銀河進化や宇宙論など多岐に渡る観測を行うことができる。
高い標高にあるTAOを最も活かす観測装置が中間赤外線分光撮像装置MIMIZUKU(Mid-Infrared Multimode Imager for gaZing at the UnKnown Universe)である。MIMIZUKUの特徴は以下の3つである。(1) 3種類の検出器で2~38ミクロンをカバー、(2) 30ミクロン帯ではかつてない空間分解能(1秒角)、(3) フィールドスタッカーと呼ばれる機構により、極めて高い精度で測光精度を実現できるところにある。未到の観測波長帯(30ミクロン帯)を、人工衛星では実現できない空間分解能で観測することは、惑星科学やその源となる物質科学にとって非常に強力なツールとなる。
TAO計画の科学的目的として、惑星形成の起源を探るというテーマがある。昨今、太陽系外惑星天体の発見が相次いでおり、多方面からの研究が進んでいる。軌道、サイズ、惑星大気などに関する研究は(系外)惑星形成において非常に重要な鍵となる。これらの惑星は所謂前主系列星周囲のダスト円盤の中で形成されると考えられている。従って、ダスト円盤の観測は惑星そのものの観測と同様に非常に重要なターゲットである。ダスト円盤は可視光では光っていないため、その温度で最も強く、TAOの最も特徴的な観測波長である30ミクロン帯は、惑星形成の初期段階を暴くことに繋がる重要なデータをもたらすことが期待される。
2色同時多天体分光撮像装置であるSWIMS(Simultaneous-color Wide-field Infrared Multi-object Spectrograph)は、広い領域をカバーする撮像機能と多天体分光機能を持った近赤外観測装置である。短波長と長波長を同時に観測可能なカメラシステムはそれぞれ4台の2K × 2KのHAWAII-2RGで9.6分の視野をカバーする。多天体分光機能は波長分解能~1000で、同時に約40天体を同時に分光することができる。また、フィルターは広帯域4枚、中帯域8枚、狭帯域バンド10枚を保有する。さらに多天体分光ユニット内には面分光モジュールが搭載される。これら多機能性を用いることで星や系内天体以外にも銀河進化や宇宙論など多岐に渡る観測を行うことができる。
高い標高にあるTAOを最も活かす観測装置が中間赤外線分光撮像装置MIMIZUKU(Mid-Infrared Multimode Imager for gaZing at the UnKnown Universe)である。MIMIZUKUの特徴は以下の3つである。(1) 3種類の検出器で2~38ミクロンをカバー、(2) 30ミクロン帯ではかつてない空間分解能(1秒角)、(3) フィールドスタッカーと呼ばれる機構により、極めて高い精度で測光精度を実現できるところにある。未到の観測波長帯(30ミクロン帯)を、人工衛星では実現できない空間分解能で観測することは、惑星科学やその源となる物質科学にとって非常に強力なツールとなる。
TAO計画の科学的目的として、惑星形成の起源を探るというテーマがある。昨今、太陽系外惑星天体の発見が相次いでおり、多方面からの研究が進んでいる。軌道、サイズ、惑星大気などに関する研究は(系外)惑星形成において非常に重要な鍵となる。これらの惑星は所謂前主系列星周囲のダスト円盤の中で形成されると考えられている。従って、ダスト円盤の観測は惑星そのものの観測と同様に非常に重要なターゲットである。ダスト円盤は可視光では光っていないため、その温度で最も強く、TAOの最も特徴的な観測波長である30ミクロン帯は、惑星形成の初期段階を暴くことに繋がる重要なデータをもたらすことが期待される。