14:45 〜 15:00
[PCG23-11] SPART電波望遠鏡が捉える金星中層大気の一酸化炭素の短期・中長期変動
キーワード:ミリ/サブミリ波ヘテロダイン分光、地球型惑星、大気化学、太陽活動、金星
中心星の活動下で、周囲の惑星が大気の物理・化学的環境をどのように確立していくのかを理解していく上で、まずはG型星である我々の太陽の活動が地球型惑星の大気に与えている影響を評価していくことが重要な鍵を握る。こうした背景をもとに、我々は国立天文台野辺山宇宙電波観測所にある口径10 mのミリ波望遠鏡を用いて太陽系惑星大気監視プロジェクト(SPART:Solar Planetary Atmosphere Research Telescope) を推進している。これまでにSPART 望遠鏡は2011-2017年 にかけて、一酸化炭素の12CO (J=1-0 ,230.538 GHz, J=2-1 115.2712018 GHz), 13CO (J=2-1, 230.3986765 GHz )の回転遷移の吸収スペクトル線をもちいて、金星や火星のかつて無い高頻度のモニタリング観測を実現してきた。
今のところ金星の高度80 km 付近の夜面のCO 混合比の平均は、およそ60 ppmv程度の低水準を維持している。これは、Cycle-22における過去のCO混合比(高度80 km)と比べると半減しており、近年の太陽活動の低下傾向との関連の可能性が示唆される。一方、観測期間についてCycle-24の太陽活動に伴う199.5nmの紫外線(SORCE/NASA)の変動と比較すると、COの混合比はなぜか紫外線の変動と反相関する傾向も見えてきた。また、こうした太陽活動や紫外線の変化では説明できない短期変動(数日から数カ月)も見られており、これは金星固有のダイナミクスによって駆動される化学物質の循環が影響しているものと推察される。本講演では、SPART望遠鏡による一連の観測結果・現況について報告する。
今のところ金星の高度80 km 付近の夜面のCO 混合比の平均は、およそ60 ppmv程度の低水準を維持している。これは、Cycle-22における過去のCO混合比(高度80 km)と比べると半減しており、近年の太陽活動の低下傾向との関連の可能性が示唆される。一方、観測期間についてCycle-24の太陽活動に伴う199.5nmの紫外線(SORCE/NASA)の変動と比較すると、COの混合比はなぜか紫外線の変動と反相関する傾向も見えてきた。また、こうした太陽活動や紫外線の変化では説明できない短期変動(数日から数カ月)も見られており、これは金星固有のダイナミクスによって駆動される化学物質の循環が影響しているものと推察される。本講演では、SPART望遠鏡による一連の観測結果・現況について報告する。