[P-EM15] Dynamics in magnetosphere and ionosphere

[PEM15-P23] 磁気圏-電離圏結合系におけるフィードバック不安定性に対する電子慣性効果

*兼山 将寿¹、渡邉 智彦¹、前山 伸也¹ (1.名古屋大学)

キーワード：オーロラ、磁気圏-電離圏結合、アルヴェン波

地球磁気圏と地球電離圏を往復伝播するAlfven 波と、地球電離圏を対流するプラズマ密度波の共鳴を介して成長するフィードバック不安定性は、静穏時オーロラアークの成長を記述する有力なモデルである。先行研究では、簡略化磁気流体方程式を用いたモデルにより、オーロラアークの成長過程のシミュレーションがなされた。

　本研究では、簡略化磁気流体方程式に電子慣性項を組み込んだモデルを用いることで磁力線平行方向の電場を導入した。電子慣性項を組み込んだことにより、地球電離圏に降下する電子の電場による加速を計算に取り入れて数値シミュレーションを行うことができ、オーロラアークの成長と、それに伴う粒子加速の時間変化を同時に取り扱うことが可能となる。

　はじめに、電子慣性効果を取り入れたフィードバック不安定性に関する線形解析を行い、周波数、成長率の波数依存性を電子慣性項がない場合と比較した。その結果、高波数になるにつれ、実周波数が低下していく様子と、成長率は全域にわたって小さくなることが確認できた。また電子慣性項を導入した場合について、平行電場の磁力線方向分布、エネルギー変換率の高度および、波数依存性を調べた。その結果、成長する波数において平行電場は加速に、安定な波数領域においては減速に作用するという結果が得られた。また発表では、非線形シミュレーションの結果についても報告する。